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内製と外注のコスト比較|人件費・管理工数・手戻りを含めて判断する方法

二列の業務ブロックと確認用の虫眼鏡で二つの業務経路を比較するイラスト

外注の見積は高く見える一方、社内スタッフの給与は毎月発生しているため、内製なら費用が増えないように感じることがあります。しかし、内製に使う時間には上限があり、外注しても説明・確認・修正の仕事は残ります。請求書の金額だけ、あるいは給与だけで比較すると、納期や品質を含めた判断を誤りやすくなります。

内製と外注のコスト比較では、短期の追加支出、長期の総コスト、他の仕事を受けられなくなる機会費用を分けます。そのうえで成果物と受入条件をそろえ、どちらにも発生する管理工数・手戻り・継続保守を含めて判断します。外注費を社内時間へ置き換えるだけでは、採算改善になるとは限りません。

短期の追加支出、長期の総コスト、機会費用の三つの独立した判断軸と共通の受入条件
短期の追加支出、長期の総コスト、機会費用は目的が異なるため、混ぜずに比較します。

本記事のポイント

  1. 短期の追加支出・長期の総コスト・機会費用を分け、比較期間と目的を先に決める。
  2. 外注費だけでなく、説明・検収・修正に残る社内工数も両案へ含めて比較する。
  3. 標準労務費の減少を現金節約とみなさず、空く時間の活用可能性と品質条件を確かめる。

何を決める比較なのかを最初に定義する

今月だけ発生した作業を既存スタッフで受けるか、来期も続く業務のために採用するかでは、必要な比較が違います。前者では実際に追加で支払う残業代、外注費、必要なライセンスなどを見ます。後者では給与、会社負担の社会保険料、採用・教育、管理、設備などを含む継続的な費用を見ます。期間を決めずに同じ表へ足すと、固定費と追加支出が混ざります。

既存スタッフに余力がある場合、その時間の標準労務費が今月の追加現金支出になるとは限りません。ただし、その時間が無価値という意味でもありません。別の受注、改善活動、育成、休暇の余裕を失う場合があります。短期の支出比較と、社内能力をどこへ使うかという配分判断を別の欄で示すと、固定費だから無料という判断を避けられます。

比較の目的主に含めるもの混ぜないもの
今月の追加支出外注請求、追加残業、臨時利用料外注しても減らない給与を削減額扱いしない
継続運用の総コスト人件費、採用教育、管理、保守一度だけの費用と毎月の費用を区別する
能力の配分失う受注機会、納期、属人化、知識蓄積実現性の低い売上を確定利益としない

業務委託、人材派遣、BPOなどは、契約や業務の任せ方も異なります。費用比較に入る前に、業務委託・人材・BPOの違いで担当範囲を整理し、必要な専門家と契約上の役割を確認してください。安い料金の形式を選ぶために、実際の指示や責任関係と契約を食い違わせないことが前提です。

成果物と受入条件を同じにして見積を並べる

比較表には、納品物の種類と量、完成基準、納期、修正回数、支給資料、会議回数、納品後の対応範囲を記載します。例えば制作物10点でも、原稿を支給する場合と企画から依頼する場合では業務量が違います。外注見積が安くても、社内で企画や入稿を担う条件なら、その工数を補わなければ比較になりません。

管理工数は一律の割合で置くより、説明、質問対応、中間確認、検収、差し戻しに分けて見積もります。初回の委託先では仕様共有に時間がかかり、継続時には減る可能性があります。初回と平常月を分け、どの前提が変われば管理工数が増えるかを記録します。見積の作業分解は工数見積と価格設定と同じ考え方です。

外注先の修正費だけでなく、社内で誤りを確認する時間や、顧客へ再説明する時間も対象です。一方、通常の受入確認まで不具合費として数えると、委託先の品質を過小評価します。予定された検収と、仕様不一致による再作業を分け、原因が社内の指示不足ならその区分を残します。責任追及だけに使わず、次回の仕様書や承認工程を直す情報にします。

知的財産、機密情報、再委託、引継ぎ可能な形式、データ返却、契約終了時の移行支援も確認します。これらは金額換算が難しくても、満たさなければ選べない受入条件になり得ます。重大な条件を満たさない案を、低価格との加点合計で採用しないよう、必須条件と比較評価を分けてください。

管理工数を含む架空例で比較する

以下は税抜の架空例です。内製では実作業80時間と確認10時間、外注では請求額24万円に加えて社内の説明・確認20時間が必要とします。共通費を含まない社内標準単価を3,000円とすると、内製の標準労務費は27万円、外注案は24万円と6万円の合計30万円です。この費用範囲では内製が3万円低くなります。

項目内製案外注案
社内の実作業80時間委託範囲内は0時間
社内の説明・確認10時間20時間
標準労務費270,000円60,000円
外注請求額0円240,000円
比較対象の合計270,000円300,000円
社内の必要時間90時間20時間

ただし、この差はそのまま現金支出の差ではありません。給与がどちらでも変わらないなら、外注で24万円の追加支出が発生します。一方、外注により社内時間が70時間空きます。その時間で別案件を受注できるか、残業や納期遅延を避けられるかを別に検討します。空いた時間に標準単価を掛けた21万円を、確実な現金節約と呼ぶのは適切ではありません。

機会費用を示す場合は、代わりに受けられる案件の売上ではなく、追加費用を差し引いた利益への寄与と、受注の確度を確認します。空き時間が発生しても、必要スキルや作業時期が合わなければ別の仕事へ転用できません。スタッフの稼働・工数管理で確定予定と仮置きを分け、実際に活用できる時間か確認します。

標準単価に共通費を含める場合は、どちらの案にも同じルールを適用します。外注によって共通費が減らないのに、外注案だけ共通費をゼロとすれば比較が偏ります。反対に、総コスト比較ですでに含めた管理費を別項目で再加算しないよう、時間単価の内訳を照合します。

ばらつきと失敗時の対応を含めて判断する

一点の見積だけでなく、通常ケースと修正が増えるケースを置きます。外注の管理工数が20時間から40時間へ増えれば、上の例の比較対象額は36万円になります。内製にも初めての技術や担当者の不在による上振れがあるため、両案に同じ厳しさで不確実性を入れます。予備費を使う場合は、何を吸収する費用か説明します。

コストに大きく効く前提を一つずつ変えると、判断の境界が分かります。外注価格、管理時間、修正量、継続月数、内製の採用期間などを変え、どこまでなら選択が変わらないか確認します。細かな数値を大量に作るより、意思決定を左右する二、三項目に絞る方が、関係者が前提を点検しやすくなります。

品質が安定しない業務は、小規模な試行で検収までの実績を測ります。試行では、依頼から受入れまでの総日数、社内の確認時間、修正件数、引継ぎ資料の不足を記録します。試行が成功しても本番量で同じ水準を保てるとは限らないため、発注量を増やす条件と、問題時に戻せる作業範囲を決めておきます。

内製に残すべきものは、作業そのものだけではありません。要求の定義、品質の判断、重要顧客との合意、情報の取り扱いなど、外注先を管理するための能力も必要です。担当者をすべて外すと検収できなくなる場合があります。業務を丸ごと二択にせず、判断部分を内製、定型処理を外注に分ける案も比較します。

決定後の実績を次の比較へ戻す

決裁時には採用案だけでなく、比較期間、作業範囲、単価、想定工数、リスク、見直し日を残します。数か月後に費用が増えたとき、当初から分かっていた条件変更なのか、見積の誤りなのかを分けるためです。根拠のない「外注は高い」「内製は遅い」という印象へ戻らないよう、比較表を実績で更新します。

月次には発注残と実績を分け、未請求の作業も含めた着地を確認します。請求が翌月に来るために外注案が一時的に安く見えることを防ぎます。完成までの残作業を含める方法は、案件原価の予実管理と着地予測を参照してください。支払時期による資金負担も、原価とは別に管理します。

最後に、判断が改善したかを確認します。外注化で減らしたかったのが残業なら残業と納期を、採算なら同じ費用範囲の採算を、専門性なら成果物の受入品質を見ます。比較の目的と評価指標をそろえることで、安さだけではなく、限られた社内能力をどこへ使うべきか判断できます。

よくある質問

既存社員で対応できるなら内製は無料ですか?

追加の現金支出が小さい場合はありますが、時間の使い道には限界があります。内製へ使う時間により、別案件の受注、改善、育成、休暇の余裕を失うこともあります。短期支出の比較と、長期の総コストや能力配分の判断を分けてください。標準労務費を追加支出と同一視することも、固定給だから時間を無料扱いすることも避けます。

外注比較で見落としやすい費用は何ですか?

仕様説明、質問対応、中間レビュー、検収、修正、顧客への再説明などの社内工数です。初回導入と平常時で負荷が異なるため分けて見積もります。移行・保守・契約終了時の引継ぎ費用も対象に応じて確認します。外注先に依頼していない工程は社内側へ残し、請求額だけで内製案と比較しないようにします。

外注で空いた時間はどのように評価しますか?

何時間空くかに加え、必要な時期やスキルが別の仕事と合うかを確認します。別案件に使える場合も、確度や追加費用を考慮した利益への寄与を見ます。空き時間に標準単価を掛けた金額を、そのまま確実な現金削減とは呼べません。使い道がない場合と、納期遅延や残業を避けられる場合でも判断は異なります。

内製と外注のどちらかに統一すべきですか?

必ずしも二択にする必要はありません。要求定義や品質判断を社内へ残し、定型作業を外注する組合せもあります。機密・知的財産・納期・受入品質など、満たすべき条件を先に決めます。小規模な試行で管理工数と手戻りを測り、費用だけでなく継続性や知識の蓄積を確認して担当範囲を選んでください。

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