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スタッフの稼働・工数管理とは?仕事量・空き時間・予定と実績を見える化する方法

三つの時計と色の異なる作業ブロックで時間と仕事量を表したイラスト

予定表は埋まっているのに、誰に新しい仕事を任せられるか分からない。担当者に聞くと全員が忙しいと言う一方、案件別に使った時間は残っていない。この状態では、受注判断、人員配置、納期調整、原価計算を同じ情報に基づいて行えません。

スタッフの稼働・工数管理は、勤務できる時間、案件への配置予定、実際に使った時間、これから必要な時間を分けて管理することから始まります。勤怠の記録をそのまま案件工数に置き換えず、会議・教育・共通業務も含めて時間の使い道を把握すると、過負荷と空き時間の両方が見えます。

勤務可能時間・案件への配置予定・作業実績を三つの独立した列に分けた管理図
勤務できる時間、案件への配置予定、作業実績を別々に持ち、差分と残工数を確認します。

本記事のポイント

  1. 勤怠・配置予定・作業実績は目的が異なるため、同じ数字として扱わず分けて記録する。
  2. 勤務可能時間から休暇と共通業務を除き、確定案件と仮置き案件を分けて余力を確認する。
  3. 稼働率だけで人を評価せず、難易度・支援業務・残工数を含めて配置と納期を見直す。

勤怠・配置予定・作業実績は、それぞれ答える問いが違う

勤怠管理が答えるのは、いつ働き、どのくらいの労働時間だったかです。配置予定は、どの案件へ何時間を割り当てる計画かを表します。工数実績は、実際にどの仕事へ時間を使ったかを記録します。三つは照合できますが、同じものではありません。カレンダーに予定があるだけで作業が完了したとは判断できず、予定のない時間をすべて余力とみなすこともできません。

工数記録と労務管理は、目的も必要な確認も異なります。労働時間や休暇に関する制度の確認には、厚生労働省の「働き方改革」の実現に向けてなどの公的情報を参照し、個別の運用は労務担当者と確認してください。原価管理のために工数を記録しても、それだけで労働時間管理上の要件を満たすとは限りません。

情報答える問い混ぜると起きる問題
勤務予定・休暇いつ勤務できるか休暇中の人へ割り当てる
配置予定どの仕事を任せるか未確定案件で余力が見えなくなる
工数実績何に時間を使ったか見積との差が消える
残工数見込み完了まで何時間必要か超過案件がいつまでも終わる見込みになる

管理の対象期間もそろえます。日単位では急な欠員や締切、週単位では配置の偏り、月単位では受注余力や原価を見ます。月の合計が余っていても、納期直前の一週間へ仕事が集中していれば対応できません。逆に一日だけ予定が少ない人を、月全体で低稼働と評価することも適切ではありません。

割当可能時間から、確定案件と仮置き案件を引く

架空の例として、週の勤務予定が40時間、休暇が8時間、社内定例や管理業務が4時間あるスタッフを考えます。案件へ割り当てることができる時間は28時間です。確定案件が22時間なら、確定分だけを見た残りは6時間です。さらに受注前の仮置き案件が8時間ある場合、すべて受注したときには2時間不足します。

このとき、予定表へ30時間とだけ書くと、確定している仕事と受注次第の仕事が混ざります。確定、仮置き、保留を分け、仮置きには判断期限と解除条件を持たせます。「今週中に受注しなければ枠を戻す」と決めれば、営業が確保したままの時間が積み重なることを防げます。受注確率で平均化した数字だけでは、同時受注時の不足を見落とすため、最大負荷も確認します。

スタッフの時間は完全に交換可能ではありません。必要なスキル、顧客との関係、作業を引き継ぐ時間、確認者の空きも制約になります。制作担当者が空いていても、承認できる責任者が詰まっていれば納期は短縮できません。担当者だけでなく、レビュー工程や顧客確認の日程も予定に含めます。

負荷配分の考え方は、訪問営業の担当エリア設計と共通します。同じ案件数を配ることと、同じ負荷にすることは違います。移動、準備、作業難易度、問い合わせ頻度など、その業務で時間を左右する条件を一つか二つ選び、件数だけの比較を補います。

実績は案件IDと作業区分で記録し、原価へつなぐ

入力項目は、作業日、スタッフID、案件ID、作業区分、実績時間、必要な補足に絞ります。作業区分は顧客提出物の制作、案件会議、修正、顧客対応、共通業務などです。入力先の候補を整理し、終了した案件がいつまでも選べる状態を避けると、誤入力を減らせます。

同時に複数の案件を担当した日は、各案件へ時間を分けます。二つの案件に参加した一時間の会議を、それぞれ一時間として合計二時間にしないようにしてください。会議の議題や時間配分を基準に分ける、主要案件へ付けるなど、社内ルールを決めて一度だけ記録します。実態が分からない場合は、推定であることを残します。

記録の粒度は、求める判断と入力負担のバランスで決めます。15分単位や30分単位などの運用は考えられますが、細かくすれば必ず正確になるわけではありません。短い対応が多い部署では、顧客ごとの日次合計にまとめる方が継続しやすいこともあります。丸め方を統一し、一日の合計が不自然に増減していないか確認します。

原価計算では、承認済み工数に適用期間付きの時間単価を掛けます。給与の詳細を工数入力画面へ出す必要はありません。案件別原価管理で扱う費目と合わせ、案件作業と共通業務を別に集計します。記録が未提出の案件を原価ゼロとして扱うと、採算がよく見えてしまいます。

週次の確認では、超過の原因と残作業を更新する

週次レビューでは、予定と実績の差が大きい案件、残工数が増えた案件、複数の担当者に確認待ちが発生している案件を優先します。すべての時間明細を読み上げる会議にする必要はありません。差が発生した理由と、次の一週間で必要な対応に時間を使います。

予定20時間に対して実績が26時間だった場合、超過6時間だけを見ると原因が分かりません。依頼内容が増えたのか、初回の見積が足りなかったのか、やり直しが発生したのかを分けます。さらに、あと何時間で終わるかを担当者と確認します。予定との差を埋めるために実績を削る運用は、次回の見積まで不正確にします。

新しい依頼が増えた場合は、追加作業の内容、依頼日、承認者、追加見積の要否を記録します。軽微な修正を毎回無記録で引き受けると、個々の負担が小さくても月全体では大きくなります。逆に、見積に含まれている対応をすべて追加請求の対象とすることも避け、契約の作業範囲に照らして判断します。

管理表の更新責任も固定します。実績入力は担当者、案件の残工数は案件責任者、配置変更はチーム管理者、単価や原価は権限のある担当者が持つと、数字の意味を保ちやすくなります。Chatで決まった担当や期限を残す方法は、Google ChatとCalendarのタスク管理を参考にできます。

稼働率の高さだけで評価せず、継続できる運用にする

稼働率を計算するときは、分子と分母を明記します。案件作業時間を勤務時間で割る率と、請求対象時間を勤務時間で割る率は別の指標です。研修や後輩の支援を含めるかどうかでも数字が変わります。部署や月を比較する前に、同じ定義で集計していることを確認してください。

全員の稼働率を常に100%へ近づけると、突発対応、レビュー、改善活動の時間がなくなります。余力の適正値は、顧客対応の変動、欠員、納期の厳しさによって異なります。一律の理想値を置くより、納期遅延や残業、問い合わせの滞留と一緒に見て、必要な余力を判断します。

過負荷の申告が不利になる仕組みでは、問題が隠れます。記録は個人を責めるためではなく、仕事の範囲や体制を調整するために使うことを共有します。入力したデータが配置の改善、見積の見直し、不要な会議の削減につながると、スタッフにとっても記録する意味が生まれます。

まず一チームで、予定、実績、残工数を一か月分そろえてください。毎週の更新で必要な項目と使われない項目が分かります。未入力が減り、過負荷を納期前に発見できるようになってから、原価や顧客別の採算へ利用範囲を広げると無理なく定着します。

よくある質問

稼働管理と勤怠管理は同じですか?

異なります。勤怠は出退勤や休暇など労務管理に必要な記録、稼働管理はどの仕事へ配置できるかを考える管理、工数実績は実際の作業時間の記録です。同じデータを連携できる場合もありますが、原価用の工数だけで労務管理上の要件を満たすとは限りません。用途と必要な確認を労務担当者と整理してください。

スタッフの空き時間はどう計算しますか?

勤務予定から休暇と確保すべき共通業務を引き、割当可能時間を求めます。そこから確定案件の予定工数を引いたものが予定上の余力です。仮置き案件や突発対応の余裕は別に示してください。週合計が空いていても、必要な曜日やスキルが合わない場合は配置できないため、時間量と時期の両方を確認します。

稼働率を100%に近づけるべきですか?

一律に100%を目標にするのは適切ではありません。突発対応、休暇、育成、支援、確認待ちなどに必要な余裕がなくなると、納期と品質が不安定になります。率の分母に何を含めるかを固定し、担当業務の変動幅に合う余裕を持たせます。記録時間が少ない人を高く評価するなど、実態を隠す動機を作らないことも重要です。

予定と実績がずれたときはどう直しますか?

当初予定を実績で上書きせず、実績と残工数を別に更新します。ずれの理由を仕様変更、見積漏れ、手戻り、支援などに分け、納期や配置を見直します。過去の予定を残すと次の見積の改善に使えます。人員を増やす場合も、引継ぎと確認の時間を加え、増員すれば単純に日数が半分になるとは考えないでください。

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