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Gemini 3.5 Transcribeとは?リアルタイム文字起こし・Chirp 3との違い・料金を解説

音声をリアルタイム文字起こしと録音後処理に分けて業務へつなぐGemini 3.5 Transcribeのイメージ

Googleは2026年8月、音声認識に特化したGemini 3.5 Transcribeを公開しました。モデルは、録音済み音声を処理するgemini-3.5-transcribeと、Live APIで連続音声を処理するgemini-3.5-transcribe-liveの2系統です。どちらも85以上の言語、会話中の言語切替、カスタム語彙、読みやすいテキストへ整えるスマート文字起こしに対応します。

Gemini 3.5 Transcribeは、音声認識だけでなく、後続処理に渡しやすいテキストを作るための専用モデルです。リアルタイム字幕、音声エージェントの入力、商談後の議事録、話者別分析などを同じGemini APIの設計で扱いやすくなります。ただし、リアルタイム版には10分のセッション上限があり、話者分離と単語タイムスタンプは録音後処理だけです。用途を決めずにモデル名だけで選ぶと、必要なデータが取得できません。

Gemini 3.5 Transcribeは、リアルタイムと録音後の両方に対応します。 会話中の字幕や音声UIにはgemini-3.5-transcribe-live、話者分離、単語タイムスタンプ、商談分析にはgemini-3.5-transcribeが適しています。Chirp 3とは単純な後継関係ではなく、Gemini APIで後続のAI処理へつなぐか、Google Cloud Speech-to-Textの運用基盤を使うかで選びます。

音声入力をリアルタイム処理と録音後処理に分け、字幕・音声エージェント・議事録・分析へ接続する流れ
ライブ音声は即時字幕やエージェント入力へ、録音済み音声は話者分離やタイムスタンプを含む議事録・分析へつなぎます。

本記事のポイント

  1. Gemini 3.5 Transcribeは、録音後処理とリアルタイム処理を別モデルで提供し、用途に応じて選べます。
  2. スマート文字起こしはフィラーや言い直しを整理できますが、話者分離や単語タイムスタンプとは併用できません。
  3. Chirp 3はGoogle Cloudの音声認識基盤、Gemini TranscribeはGemini APIと後続AI処理へつなぎやすい専用モデルです。

Gemini 3.5 Transcribeとは|リアルタイムと録音後処理の2モデル

Googleのモデル仕様では、Gemini 3.5 TranscribeはGeminiの音声理解能力を基にした音声テキスト変換モデルと説明されています。一般的なGeminiモデルに音声を渡して「要約して」と頼む使い方とは異なり、発話を正確に文字列へ変換し、必要に応じて話者や時刻の注釈を返す専用モデルです。

文字起こしAIの基本的な仕組みでは、録音、音声認識、整形、要約を別工程として整理しました。Gemini 3.5 Transcribeの特徴は、そのうち音声認識と整形の境界を近づけたことです。逐語記録を残すことも、読みやすい文章へ整えることも、同じ文字起こし設定の中で選択できます。

比較項目録音後処理リアルタイム処理
モデルIDgemini-3.5-transcribegemini-3.5-transcribe-live
主なAPIInteractions API、Files APILive API、WebSocket
主な用途会議、商談、インタビュー、動画素材の後処理ライブ字幕、音声入力UI、音声エージェント前段
処理上限最大1時間。話者分離または単語タイムスタンプ利用時は最大30分1セッション最大10分
話者分離最大8話者。3話者以上の帰属は実験的非対応
単語タイムスタンプ対応。ただし認識精度が低下する可能性非対応
スマート文字起こし対応対応
カスタム語彙最大1,000語最大1,000語

リアルタイム版は「途中結果」と「確定結果」を分けて返す

Live APIでは、話している途中の推測結果をinterim_input_transcription、話し終わった区間の確定結果をinput_transcriptionとして受け取ります。字幕UIでは途中結果を素早く表示し、確定後に置き換える設計ができます。音声は16kHz、モノラル、16bit PCMを基本とし、Googleは100ミリ秒程度の小さなチャンクで送る例を示しています。

発話の終了は、サーバー側の音声区間検出に任せるほか、端末側の検出を組み合わせるハイブリッド方式、押している間だけ話すプッシュ・トゥ・トーク方式を選べます。字幕の表示速度や音声コマンドの応答速度は、モデルだけでなく発話終了をいつ確定するかで変わります。

何がすごいのか|文字起こし後の整形工程を減らせる

従来の実装では、音声認識の生テキストを取得し、別のLLMへ渡してフィラー除去、言い直しの解消、日付や数字の整形、箇条書き化を行う構成が一般的でした。Gemini 3.5 Transcribeのスマートモードは、これらを文字起こし時点で処理します。

  • フィラー除去:「えー」「あのー」など、意味を持たないつなぎ言葉を整理する
  • 言い直しの解消:「火曜、いや水曜」のような自己修正を最終意図へまとめる
  • 構造化:口頭で並べた項目を番号付きリストや段落へ整える
  • 数字の正規化:口頭の日付、時刻、通貨、数量を読みやすい表記へ変換する
  • 言語切替:一つの会話や文の途中で言語が切り替わっても自動検出する

この機能は、議事録、CRM入力、字幕の読みやすさを高める一方、発話そのものを研究・監査したい場面には向きません。話し方の癖、言いよどみ、修正前の発言まで証跡として残すなら逐語モードを使います。さらにスマートモードは、話者分離や単語タイムスタンプと併用できません。「読みやすい文章」と「誰がいつ話したか」のどちらを優先するかを、処理前に決める必要があります。

固有名詞を最大1,000語まで寄せられる

カスタム語彙には、社名、商品名、略語、業界用語、人物名などを最大1,000語登録できます。ただしGoogleは、通常100語程度までに絞った方が良い結果を得やすいと案内しています。一般語を大量に入れるより、誤認識が業務上の問題になる語だけを登録する方が有効です。

例えば商談文字起こしなら、取引先名、製品名、プラン名、技術略語を案件や業界ごとに切り替えます。商談文字起こしを営業改善へつなげる設計では、文字起こし後に課題、反論、競合名、次回アクションを抽出する方法も整理しています。

Chirp 3・Gemini Live Agentとの違い

Gemini 3.5 Transcribeと混同しやすいのが、Google Cloud Speech-to-TextのChirp 3と、会話して音声で返答するGemini Live Agentです。いずれも音声を扱いますが、役割は異なります。

選択肢主な役割向いている場面主な判断軸
Gemini 3.5 Transcribe Live連続音声を低遅延でテキスト化字幕、音声入力、エージェント前段途中結果、確定速度、10分セッション
Gemini 3.5 Transcribe音声ファイルを構造化テキスト化議事録、動画字幕、話者別分析話者分離、単語時刻、スマート整形
Chirp 3Google Cloudの音声認識基盤大規模STT、コールセンター、既存GCP運用リージョン、IAM、ノイズ除去、発話終了調整
Gemini Live Agent聞く・考える・音声で返答する会話モデル電話ボット、受付、対話型アシスタント割り込み、ツール実行、音声応答、会話状態

Chirp 3は競合するが、単純な旧モデルではない

Chirp 3の公式資料では、Google Cloud Speech-to-Text V2でストリーミング、短い同期認識、長時間のバッチ認識を提供しています。自動言語検出、話者分離、最大1,000件の語句ヒントなど、Gemini Transcribeと重なる機能もあります。

一方、Chirp 3にはノイズ除去や発話終了感度の調整があり、Google Cloudのリージョン、IAM、監査、運用基盤へ載せやすい特徴があります。Gemini 3.5 Transcribeは、スマート文字起こしやGemini APIの後続処理へつなぎやすい点が中心です。Googleは両者を同一モデル、またはChirp 3からGemini Transcribeへの置き換えとは説明していません。既存のChirp 3基盤をモデル名だけで移行せず、実音声、遅延、料金、運用要件で比較します。

Live Transcriptionは会話エージェントではない

GoogleのLive APIガイドでは、Live Transcriptionを「専用の低遅延音声認識パイプライン」、Live Agentを「聞いて、推論し、音声で返す会話アシスタント」と区別しています。Transcribe Liveの出力はストリーミング文字列であり、Google検索、関数呼び出し、音声返答を単体で行うモデルではありません。

音声エージェントを構築するなら、Transcribe Liveの後ろに会話モデル、業務ツール、音声合成を接続するか、Gemini Live Agentを使います。Google ADKと組み合わせる具体像はGemini Live APIとGoogle ADKによる音声AIエージェント、他社モデルとの比較はOpenAI Realtime APIモデルの選び方で確認できます。

料金・制約・導入前に確認すべきこと

Googleの料金ページは、音声入力を1秒25トークン、文字出力を1分175トークンと仮定した推定実効価格を示しています。2026年8月27日時点では、録音後処理が約0.005ドル/分、リアルタイム版が約0.009ドル/分です。単純換算では録音後処理が約0.30ドル/時、リアルタイム版が約0.54ドル/時ですが、実請求は入力時間、出力文字量、契約条件で変わります。

確認項目公式仕様実務上の対策
録音時間通常は最大1時間。話者分離・単語時刻使用時は最大30分長い会議は無音区間や議題で安全に分割する
ライブ時間1セッション最大10分再接続と文脈引き継ぎをアプリ側で設計する
話者分離最大8話者。3話者以上の帰属は実験的重要会議は音声チャンネル分離や人手確認を併用する
単語タイムスタンプ精度が低下する可能性字幕同期の許容誤差を実音声で測る
カスタム語彙最大1,000語、推奨は絞り込み誤認識時の損失が大きい固有語を優先する
スマートモード話者分離・単語時刻と併用不可保存用逐語録と共有用要約を別処理にする

録音を扱う場合は、技術仕様だけでなく、録音同意、保存期間、アクセス権、削除手順、機密情報の扱いも決めます。ブラウザやモバイルアプリからマイク音声を直接送る場合、長期APIキーをクライアントへ埋め込まず、Googleが案内する短時間のエフェメラルトークンをサーバー側で発行します。

評価では文字誤り率だけでなく、固有名詞、数字、否定表現、話者帰属、字幕の確定時間、後続要約の正確さまで確認してください。読みやすい文章が返っても、金額や日付、担当者名が誤っていれば商談記録には使えません。

導入方法|用途別に小さく評価する

最初から全会議や全通話へ導入するより、利用場面を一つに絞って評価した方が、モデルの向き不向きを判断できます。

  1. 目的を固定する:ライブ字幕、音声エージェント入力、議事録、動画字幕、商談分析のどれか一つを選ぶ。
  2. 出力要件を決める:読みやすさを優先するか、話者と時刻を優先するかを決める。
  3. 実音声を用意する:日本語、英語混在、専門用語、雑音、複数話者を含む代表サンプルを使う。
  4. 比較対象を置く:既存のChirp 3、他社STT、人手文字起こしと同じ音声で比較する。
  5. 後続処理まで測る:字幕表示、要約、CRM登録、検索、分析まで含めて完了率とコストを見る。
  6. 停止条件を定める:金額、否定、固有名詞、話者帰属の誤りが一定水準を超えたら人手確認へ戻す。

録音後処理ではFiles APIへ音声をアップロードし、Interactions APIでgemini-3.5-transcribeと文字起こし設定を指定します。ライブ処理ではLive APIへWebSocket接続し、gemini-3.5-transcribe-liveへPCM音声を送ります。日本語が中心ならja-JPをヒントとして明示し、業界固有語だけをカスタム語彙へ加えると評価条件を揃えやすくなります。

Google Meetの録音・文字起こし・Gemini議事録の違いも確認すると、会議製品に組み込まれた機能を使う場合と、APIで独自ワークフローを作る場合の境界を整理できます。

よくある質問

Gemini 3.5 Transcribeはリアルタイム専用ですか?

いいえ。録音済み音声用のgemini-3.5-transcribeと、リアルタイム配信用のgemini-3.5-transcribe-liveがあります。前者は最大1時間のファイル、後者は1セッション最大10分の連続ストリーミングに対応します。

リアルタイム版で話者分離や単語タイムスタンプを使えますか?

使えません。リアルタイム版は途中結果と確定結果を返しますが、話者分離と単語単位タイムスタンプには対応していません。必要な場合は録音後処理のgemini-3.5-transcribeを使います。

スマート文字起こしと話者分離は同時に使えますか?

同時には使えません。スマートモードはフィラー、言い直し、リスト、日付、数字を読みやすく整理しますが、話者分離と単語タイムスタンプが必要な場合は逐語モードを選びます。

Gemini 3.5 TranscribeとChirp 3は同じモデルですか?

Googleは同一モデルや単純な後継関係とは説明していません。Gemini 3.5 TranscribeはGemini API、Chirp 3はGoogle Cloud Speech-to-Text V2で提供され、重複機能はあるものの運用面とAPIが異なります。

料金はいくらですか?

Googleの2026年8月時点の料金ページでは、入力音声と出力文字を合算した推定実効価格として、録音後処理が約0.005ドル/分、リアルタイム版が約0.009ドル/分と案内されています。実請求はトークン消費量で変わります。

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