マーケティングで活用できるGemini AI関数|レビュー・アンケート分析を自動化する実務テクニック
レビューやアンケートの自由記述など「お客様の声」は宝の山ですが、現実には読むだけで精一杯で施策に活かせていないケースが多いです。 GoogleスプレッドシートのGemini AI関数(=AI / =Gemini)を使えば、テキストを行ごとに要約・タグ付け・分類できます。本記事では、ニーズ分類、不満点の改善要望変換、競合比較の抽出など8つのユースケースと、出力フォーマット固定・選択肢限定といった安定運用のコツを解説します。
「お客様の声」が多すぎて、結局活かせていませんか?
マーケティング担当者なら、誰もが経験したことがあるはずです。レビュー、アンケートの自由記述、問い合わせメール、SNSのコメント、営業からのフィードバック。これらの「お客様の声」は確かに宝の山なのですが、現実には「読むだけで精一杯」「分析が属人化している」「施策につなげられない」という壁にぶつかります。
GoogleスプレッドシートのGemini AI関数(=AI / =Gemini)を使えば、この問題を解決できます。テキストデータを行ごとに要約し、タグ付けし、分類する。これまで人力でやっていた作業を、セルの中で自動化できるのです。
ただし、ここで重要なのは「たまに良い回答が返ってくる」ことではありません。マーケティング実務で本当に価値があるのは、毎回同じフォーマットで安定して結果が返ってくることです。この記事では、そのための具体的な方法をお伝えします。
AI関数が実務に向いている理由
Googleスプレッドシートには、サイドパネルから使えるGeminiアシスタントも搭載されています。表の作成や分析のサポートには便利ですが、日々のルーティン業務に組み込むなら、AI関数のほうが適しています。
その理由は、セルに書いた指示を各行のテキストに対して繰り返し実行できるからです。100件のレビューがあれば、100件すべてに同じ処理を適用できます。
基本的な使い方はシンプルです。A列にレビューや自由記述を貼り付け、B列以降でAI関数を設定して要約や分類を出力させます。あとはフィルタやピボットテーブルで集計すれば、すぐに分析に使えるデータが手に入ります。
ここで押さえておきたいのは、AI関数の出力は基本的にテキストだということ。後工程で扱いやすくするために、出力フォーマットを固定することが運用の鍵になります。
マーケティングで使える8つのユースケース
ここからは、実際にコピペで使える関数例を紹介します。いずれもA2セルに本文(レビューなど)が入っている前提です。意思決定に直結しやすいものから順に並べています。
1. レビューを「要約|良い点|悪い点|感情」に整理する
まず取り組むべきは、一次情報を集計可能な形に変換することです。
=AI("次の文章を(1)一文要約(2)良い点を箇条書き(3)悪い点を箇条書き(4)感情をポジ/ネガ/中立で出力。出力は『要約|良い点|悪い点|感情』。", A2)
この関数だけでも、「ネガティブなレビューだけ抽出する」「悪い点として挙げられているワードの傾向を見る」といった分析が可能になります。フィードバックの全体像を把握する第一歩として、最もおすすめの使い方です。
2. ニーズ分類を選択肢固定で行う
自由にタグ付けさせると、毎回異なる表現が返ってきて集計が困難になります。そこで、分類名を最初から限定します。
=AI("文章の主なニーズを『コスト削減』『時短』『品質向上』『売上増』『安心/リスク低減』『使いやすさ』『サポート』『その他』から1つ選んで出力。出力は分類名のみ。迷ったら『その他』。", A2)
選択肢を固定することで、ピボットテーブルで簡単に集計できます。施策の方向性を議論する際も、チーム全員が同じ軸で会話できるようになります。
3. 不満点を改善要望の形に変換する
マーケティング部門が集めた一次情報を、プロダクト開発やカスタマーサクセスのチームに共有する場面は多いでしょう。その際、不満をそのまま伝えるのではなく、改善要望の形に「翻訳」すると、建設的な議論につながります。
=AI("文章中の不満点を1つ選び、(1)問題(2)理想状態(3)改善案を各1行で。出力は『問題|理想|改善案』。不満がなければ『なし|なし|なし』。", A2)
このフォーマットなら、開発チームとの会議でもすぐに議論に入れます。
4. 競合比較の断片を抽出する
レビューやアンケートには、競合との比較情報が含まれていることがあります。これを見逃さずに拾い上げれば、広告やLPの改善に直結します。
=AI("文章に競合や比較対象があれば(1)比較対象名(2)比較観点(3)当社が選ばれた/選ばれない理由を抽出。無ければ『なし』。出力は『対象|観点|理由』。", A2)
お客様がどんな軸で比較検討しているのかが見えてくると、訴求ポイントの優先順位が明確になります。
5. ペルソナ要素を推定してタグ化する
文章から書き手の属性を推定し、セグメント分析に活用します。
=AI("文章から書き手の属性を推定し『業種(推定)|役割(推定)|利用状況(導入前/導入直後/運用中/解約後/不明)』で出力。根拠が薄ければ不明。", A2)
あくまで推定なので、「不明」という選択肢を用意しておくことが重要です。無理に分類しようとすると誤分類が増え、分析の精度が落ちてしまいます。
6. LP・商品説明から訴求要素を抽出する
自社のLPや商品説明を分析対象にすることもできます。C2セルにLP本文が入っている想定です。
=AI("次の文章から(1)主要ベネフィット(2)根拠(数字/事例/仕組み)(3)想定読者(一言)を抽出。出力は『ベネフィット|根拠|想定読者』。", C2)
「自分たちが何を伝えようとしているのか」を客観的に棚卸しできます。複数のLPを比較する際にも便利です。
7. 広告見出し案を制約付きで量産する
広告見出しの作成にもAI関数は使えます。D2セルに商品特徴や訴求材料がある想定です。
=AI("次の商品特徴から広告見出しを5案。制約:各15文字以内。トーンは誠実、誇張しない。訴求は『時短』『安心』『価格』を混ぜる。出力は改行区切り。", D2)
文字数制限、トーン、禁止事項(誇大表現NGなど)をプロンプトに含めることで、実務で使える案が出やすくなります。
8. キーワードの検索意図を分類する
SEOやコンテンツ企画の前処理として、キーワードの検索意図を分類します。
=AI("次のキーワードの検索意図をInformational/Commercial/Transactionalのいずれか1つで分類。理由は20文字以内。出力は『意図|理由』。", A2)
外部の検索データに頼らず、まずは意図分類に留めることで、精度が安定します。
安定した運用のための3つのコツ
AI関数をマーケティング業務に組み込む際、最も重要なのは「後で集計できる設計」です。便利な関数も、出力が毎回バラバラでは分析に使えません。
出力フォーマットを必ず固定する
「要約|良い点|悪い点|感情」のように、区切り文字を使ってフォーマットを指定します。分類を行う場合は、選択肢を列挙して1つに限定することで、集計しやすい出力が得られます。この一手間を省くと、後で泣くことになります。
「迷ったら」のルールを明示する
「迷ったらその他」「根拠が薄ければ不明」といったルールをプロンプトに含めておくと、誤判定を減らせます。マーケティングの分析では、誤分類が混ざることで結論を間違えるリスクがあります。無理に分類させるより、「不明」で保留するほうが安全です。
AI列と集計列を分ける
AIの出力結果は、まずテキストとして確定させます。必要に応じて別の列で分解・整形し、集計に回す設計にしておくと、トラブルが起きにくくなります。AIに「集計しやすい形で返して」と徹底することが、安定運用のコツです。
注意すべきポイント
マーケティング用途でも、AI関数には向かない領域があります。
数字の正誤確認、法務に関わる表現、医療・金融分野での断定的な表現は、AI関数に任せるべきではありません。また、アンケートや問い合わせには個人情報が含まれていることが多いため、組織のセキュリティポリシーや管理者設定を必ず確認してください。
そして、生成された結果の責任は利用者側にあります。広告コピーや告知文として公開する場合は、必ず人間の目でレビューしてから使いましょう。
まとめ:AI関数は「声を施策に変える」ための整流レイヤー
Gemini AI関数の本当の価値は、一次情報を賢く「読む」ことではありません。レビューや自由記述を、意思決定に使えるラベルと要約に揃え、広告やLP、プロダクト改善といった施策に接続できる点にあります。
最初から複雑な設計をする必要はありません。まずは「要約|良い点|悪い点|感情」「ニーズ分類(選択肢固定)」「改善案(問題|理想|改善案)」の3つの列を追加するところから始めてみてください。
それだけで、マーケティング会議の質が一段上がることを実感できるはずです。