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「案件管理だけ別ファイル」が生む悲劇——横断できない、引き継げない、そして組織が詰む

「案件管理だけ別ファイル」にすると、顧客・メール・予定との紐づきが切れ、横断検索できない・整合が取れない・引き継げないという悲劇が起きます。 案件は単体では成立せず、顧客や活動履歴と結びついて初めて価値が出るからです。本記事では、移行を急がずに止血する方法を解説。正の場所を1つに決める、IDとリンクで紐づける、次アクションと期限を必須化する、引き継ぎテンプレを固定する——この5つで現場の摩耗は大幅に減らせます。

「顧客リストはAのスプレッドシート」「案件はBのスプレッドシート」「メールはGmail」「予定はカレンダー」——気づけば、情報が”置き場所ごとに分断”されている。そんな状態になっていないでしょうか。

最初は便利なんです。チームが小さいほど「案件だけ整理できればOK」と回ります。ところが、売上が伸びるほど、担当が増えるほど、引き継ぎが発生するほど、「案件管理だけ別ファイル」の運用は静かに崩れていきます。

この記事では、なぜ悲劇が起きるのかを構造から解剖し、移行を急がずに”まず止血”するための実務ルールまで落とし込みます。


なぜ「案件だけ別ファイル」にすると、必ず詰まるのか

結論から言うと、案件は”単体では成立しない情報”だからです。

案件は顧客(会社・担当者)と紐づき、過去のやり取り(メール・会議・見積・契約)と紐づき、次アクション(タスク)と紐づいて、初めて価値が出ます。にもかかわらず、案件だけ別ファイルにすると「紐づき」が運用上は切れます。切れた瞬間、次の3つが起きます。

横断検索できない——探す時間が増える。更新の整合が取れない——どれが最新か分からない。引き継ぎで死ぬ——背景が再現できない。

ここから先は、よくある悲劇を具体的に見ていきます。


“横断できない”が生む、日々の小さな損失

横断できない問題は、派手な事故ではなく「毎日の摩耗」として現れます。だから放置されやすい。でも、積み上がると最も高くつきます。

案件名でしか探せない地獄

案件ファイルが独立すると、検索キーが「案件名」や「会社名」くらいに限定されがちです。

しかし実際、現場はこんな言葉で探します。「先週の打ち合わせで値引きの話が出たやつ」「法務レビュー待ちって言ってた件」「あの人が異動する前に動いてた案件」「見積送ったのに反応ないやつ」——こういう情報は、メールや議事メモ、コメント欄に散り、案件ファイルには残りません。

結果、「知ってる人に聞く」が最短になり、属人化が進みます。

二重入力が”当然”になり、正確さが落ちる

顧客側のシートにも案件側のシートにも、同じ情報が入るようになります。会社名、担当者、ステータス、最終接触日、温度感。どれかを更新すると、もう片方がズレる。

このとき現場は、だいたいこう判断します。「どうせ完璧に揃わないから、案件ファイルだけ見よう」あるいは「いや、顧客ファイルが正だから、そっちだけ更新しよう」と。

つまり、正のデータ(Single Source of Truth)が消えます。正解がなくなると、入力の価値が下がり、入力されなくなります。


“整合しない”が生む、管理者のストレスと意思決定ミス

別ファイル運用が進むと、数字の見え方が壊れます。これは営業だけでなく、マネジメントにも刺さります。

パイプライン会議で起きる「数字が合わない」

会議で見たいのは「今月着地」「来月の見込み」「リスク案件」です。ところが案件が別ファイルだと、次のズレが起きます。案件ファイルの金額と見積書の金額が違う。ステータスは「提案中」だが、実際は「稟議待ち」で止まっている。”失注”が入力されず、永遠にパイプラインに残る。

これが続くと、会議は意思決定の場ではなく「データの口論」になります。最悪なのは、データが信用されなくなることです。信用されない仕組みは、誰も使いません。

監査・振り返りができない

「なぜこの案件は勝てたのか/負けたのか」を後から再現できない。別ファイル運用は、活動履歴が散り、判断の根拠が残りづらいからです。振り返れない組織は、同じ失敗を繰り返します。


“引き継げない”が生む、本当の悲劇

別ファイル運用の致命傷は引き継ぎです。退職・異動・休職・兼務——組織では必ず起きます。

引き継ぎ資料が「案件一覧」だけになる

引き継ぎが近づくと、担当者はとりあえず案件ファイルを整えます。しかし、引き継ぐ側が必要なのは、案件の”背景”です。この顧客は何に困っているのか(課題)。何を条件に意思決定するのか(決裁条件)。誰がキーマンで、誰が反対なのか(関係者)。どこで詰まっているのか(ボトルネック)。次に何をすれば動くのか(次アクション)。

これらがメール・カレンダー・個人メモに散っていると、引き継ぎ先は一から掘り起こすしかありません。そして、掘り起こしが終わる前に機会損失が起きます。返信が遅れる、提案が遅れる、温度が下がる。顧客から見ると「担当が変わって遅くなった」だけです。

「担当者の頭の中」が最大資産になってしまう

組織としては危険な状態です。本来、案件の資産は会社のものなのに、運用のせいで”担当者の記憶”が最大のデータベースになります。

この状態が続くと、採用しても育ちません。新しい人ほど、情報が追えずに詰みます。「自走できる人しか残らない」という悪い選別が起きてしまいます。


よくある”別ファイル化”のパターンと、起点の見つけ方

別ファイル化は、たいてい善意から始まります。

パターン1:顧客名簿はあるが、案件列が増えすぎて壊れた

顧客シートに案件の列を足し続けて破綻し、「案件だけ別にしよう」と分離します。しかし本当の原因は、列を増やす前に「案件の粒度」と「履歴の持ち方」を決めていないことです。

パターン2:事業部ごとに案件表が増殖した

事業部A・B・Cで案件管理が分かれ、「会社としての取引状況」が見えなくなります。同一企業への同時提案、値引きの食い合い、窓口の衝突など、地味に致命的な事故が起きます。

パターン3:外部パートナーや代理店と共有するために別管理にした

外部共有のために別ファイル化すると、権限は守れても、内部の横断が死にます。「外部共有」と「社内の正」は分けるべきで、別ファイル化で解決すべき問題ではありません。


移行せずに”まず止血”する最小ルール

ここからは、今ある運用を捨てずに改善するための現実的な打ち手です。理想論ではなく、「これだけやれば事故が減る」を優先します。

1)”正”の場所を1つ決める

まず、意思決定します。案件の正として持つのは、ステータス・金額・次アクション・期限・担当者。顧客の正として持つのは、会社名・担当者・連絡先・関連案件の一覧(リンク)。

両方を正にしない。どちらかを正にし、もう片方は参照に徹します。これだけで「ズレても仕方ない」状態から抜けられます。

2)リンクで紐づける(IDを導入する)

案件が別ファイルでも、せめて”確実に行き来できる”状態を作ります。顧客シートに案件IDと案件URLを持たせる。案件シートに顧客IDと顧客URLを持たせる。

IDは難しく考えず、連番で十分です(例:D-000123)。重要なのは「会社名で曖昧検索しない」こと。IDで一意に結びます。

3)「次アクション」と「期限」だけは案件に必須にする

案件の価値は、結局”次に何をするか”です。案件ファイルが別である以上、最低限ここは必須にします。次アクション(例:見積再送、稟議状況確認、決裁者同席依頼)、期限(例:1/20まで)、次アクション担当(曖昧なら”私”ではなく人名)。

これが入っていない案件は、案件ではなく”メモ”です。メモがパイプラインに混ざると、会議が壊れます。

4)メールと予定の”ログ化”ルールを決める

全部を統合しようとして頓挫するのが典型です。最小のルールにします。重要なメールは「案件ID」を件名の先頭に入れる(例:【D-000123】)。会議の予定タイトルにも「案件ID」を入れる。もしくは、予定のメモ欄に案件URLを貼る。

これだけで、「後から追える」率が一気に上がります。人が変わっても、検索で辿れます。

5)引き継ぎテンプレを固定する

引き継ぎのたびにフォーマットが変わると、引き継ぐ側が疲れます。1案件について、最低限この型だけは揃えます。背景(なぜ動いているか)、現状(どこで止まっているか)、関係者(キーマン/決裁/現場)、条件(予算・期限・必須要件)、次アクション(何を、いつまでに、誰が)。

これが埋まっていない案件は、引き継ぎ不能です。つまり「管理しているつもりで、管理できていない案件」です。


“別ファイル運用”から抜けるときに、最初に整えるべき順番

「じゃあ統合しよう」となると、急に大工事になって止まります。順番が大事です。

先に整えるのは「案件」ではなく「紐づけ」

先にやるべきは、案件表の見栄えではありません。顧客と案件の関係(リンクとID)です。ここが整うと、多少散っていても横断できます。

次に整えるのは「次アクション」と「期限」

案件はタスクの集合体です。次の一手が見えれば回ります。逆に、ステータスだけ整っていても売上は増えません。

最後に「活動履歴」を厚くする

活動履歴は効きますが、厚くしすぎると入力地獄になります。まずは「検索で辿れる」レベルから始めるのが現実的です。


まとめ:別ファイルの悲劇は、情報ではなく”紐づき”が壊れること

“案件管理だけ別ファイル”が生む悲劇の本質は、情報が増えることではありません。関係性(顧客×案件×やり取り×次アクション)が切れて、「横断できない」「整合しない」「引き継げない」が連鎖することです。

大規模移行の前に、まずは止血できます。正の場所を1つに決める。IDとリンクで紐づける。次アクションと期限を必須にする。メール・予定に案件IDを混ぜて追えるようにする。引き継ぎテンプレを固定する。

この5つだけでも、現場の摩耗はかなり減ります。そして、摩耗が減ったときに初めて「統合」や「自動化」が現実になります。

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