営業リスト作成はもうしない。Claude Coworkに「競合調査」と「Excel入力」を丸投げする手順【実証実験】 – ファネルAi
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営業リスト作成はもうしない。Claude Coworkに「競合調査」と「Excel入力」を丸投げする手順【実証実験】

結論: Claude Coworkを使えば、「Web検索→情報抽出→ローカルExcel入力」という営業リスト作成の一連の流れを、自然言語の指示だけで自動化できます。RPAのような複雑な設定は一切不要です。

要点1: 従来のAIとの決定的な違いは「PCを直接操作できる」こと。ブラウザを立ち上げ、クリックし、ファイルを保存するところまで、まさに「隣に座った優秀なアシスタント」のような動きをします。

要点2: ただし万能ではありません。処理速度は「人間がテキパキ作業する程度」であり、セキュリティ面での注意も必要。本格運用には仮想環境の活用や明確な指示設計が欠かせません。

「Webで企業を検索して、会社概要ページを開き、代表者名と売上高をコピーして、Excelに貼り付ける」——営業担当やマーケターの方なら、この作業にこれまで何十時間、いや何百時間を費やしてきたことでしょうか。単純作業だけれど、判断が必要だから完全自動化が難しい。RPAツールは設定が面倒だし、高額なリスト購入サービスは精度が微妙で、結局手作業に戻る。そんなジレンマを抱えている方は多いはずです。

そんな悩みを過去のものにする技術が、ついに実用段階に入りました。今回は、Anthropic社のAI「Claude」の新しいエージェント機能「Claude Cowork」を使って、「指示ひとつで勝手にブラウザを操作し、Excelリストを完成させる」という実証実験を行った結果をお伝えします。

ChatGPTにデータ整理を頼むのとは訳が違います。AIがあなたのPCのマウスとキーボードを操作し、ローカルのExcelファイルを直接編集するのです。その衝撃的な手順と、私が実際に試して見えてきた可能性と限界を、包み隠さず公開します。


なぜ「Claude Cowork」なのか?ChatGPTとの決定的な違い

まず、この技術がなぜ画期的なのかを整理しておきましょう。「AIでリスト作成なんて、ChatGPTでもできるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、従来のAIと今回のClaude Coworkには、決定的な違いがあります。

従来のAI(ChatGPTなど)の限界

これまでの生成AIは、基本的に「チャットの中で完結する存在」でした。Web検索はできますが、その結果をテキストで表示したり、クラウド上でダウンロード用ファイルを生成したりするのが限界です。「今デスクトップにあるExcelファイルを開いて、追記する」ということはできません。

また、ブラウザ操作もできません。「このPDFをダウンロードしてフォルダに保存して」といったOSレベルの操作は、従来のAIには不可能だったのです。つまり、どれだけ賢い回答を返してくれても、「実際に手を動かす」のは人間の仕事でした。

Claude Coworkの革命——「画面を見て、手を動かす」AI

Claude Coworkは、この常識を覆します。この機能は、AIが実際にマウスとキーボードを操作し、人間と同じように画面を見てカーソルを動かし、クリックします。ブラウザで検索した結果を、タスクバーにあるExcelアイコンをクリックして開き、セルに入力することができるのです。

Anthropicの説明によれば、Coworkは「新たな業務にClaudeを利用する際の手間をできるだけ減らすように設計されている」とのこと。手動でコンテキストを提供したり、AIの出力を適切な形式に変換したりする作業は必要なくなります。「AIとやりとりするというより、同僚にメッセージを残すようなイメージ」だと表現されています。

つまり、「優秀なアシスタントが隣に座って、あなたのPCを操作してくれる」のとまったく同じ状況を作り出せる。これがClaude Coworkの革命的なポイントです。


実証実験:SaaS業界の競合リストを完全自動で作らせてみた

では、実際にやってみましょう。今回のミッションは以下の通りです。

ターゲットは日本国内の「人事労務管理SaaS」を提供している企業。抽出項目は企業名、サービス名、資本金、従業員数、売上高(公開されている場合)。ゴールはデスクトップにある「sales_list.xlsx」に情報を追記し、参考資料として会社概要PDFをフォルダに保存すること。

Step 1:環境の準備

Claude Coworkを実行するには、現時点ではApple Silicon搭載のMacが必要です。Windows版は未対応のため、MacBook AirやMac miniなどを用意します。また、契約プランは「Claude Max」または「Claude Pro」が必要で、無料プランでは利用できません。

デスクトップには空のExcelファイル「sales_list.xlsx」と、資料保存用のフォルダ「evidence_docs」を用意しました。Claude Coworkにこれらのフォルダへのアクセス権を付与し、準備完了です。

Step 2:究極の「丸投げ」プロンプト

ここが肝心です。AIに曖昧な指示を出すと迷子になります。業務マニュアルを渡すつもりで、具体的かつ明確なプロンプトを入力しました。

私が入力した指示は次のような内容です。「あなたは優秀なリサーチャーです。Google Chromeを開き、日本の人事労務SaaS企業を検索し、主要なプレイヤーを5社ピックアップしてください。各社の公式サイトにアクセスし、会社概要ページを探してください。可能であれば会社概要のPDFをダウンロードし、指定フォルダに保存してください。その後、デスクトップにあるExcelファイルを開き、企業名・サービス名・資本金・従業員数・URLを入力し、上書き保存して閉じてください。」

ポイントは、「実行前に作業計画を提示し、許可を得るまで処理しないでください」という一文を加えたこと。これにより、AIが暴走して意図しない操作をするリスクを軽減できます。

Step 3:実行——目の前で起きる「魔法」

プロンプトを送信すると、Claudeは即座に動き出しました。

まず、ブラウザが勝手に立ち上がります。魔法のようにChromeが起動し、検索窓に「日本 人事労務SaaS」と文字が打ち込まれていきます。私がキーボードに触れていないのに、画面が次々と切り替わっていく様子は、正直なところ最初は少し不気味にすら感じました。

次に、検索結果から「SmartHR」「freee」「マネーフォワード クラウド」などの関連ページを開いていきます。驚いたのは、ポップアップ広告が出た際にAIが「×」ボタンを押して閉じたことです。これは想定外でした。人間らしい判断ができるのです。

情報が集まると、今度はタスクバーのExcelアイコンをクリック。シートが開き、セルにカーソルが合い、目にも留まらぬ速さで企業情報が入力されていきます。コピペミスもありません。そして約3分後、「作業が完了しました」というメッセージとともに、Excelが保存され、閉じられました。


生成された成果物の品質をチェックする

自動作成された「sales_list.xlsx」を開いて中身を確認してみましょう。

企業名サービス名資本金従業員数URL
株式会社SmartHRSmartHR約100億円1,200名https://smarthr.jp/
freee株式会社freee人事労務約150億円1,500名https://www.freee.co.jp/
株式会社マネーフォワードマネーフォワード クラウド勤怠約60億円2,000名https://biz.moneyforward.com/
株式会社ラクス楽楽勤怠約3億円2,500名https://www.rakus.co.jp/
jinjer株式会社ジンジャー非公開800名https://jinjer.co.jp/

私の判定は、実用レベルで「合格」です。

正確性については、資本金や従業員数は公式サイトの最新情報を反映していました。ChatGPTの学習データ(過去の情報)ではなく、Web検索した「今」の情報を使っている強みが出ています。フォーマットも指示した列にズレなく入力されており、問題ありません。PDF保存についても、指定したフォルダに2社分の会社概要PDFが保存されていました(ダウンロードリンクがないサイトはスキップされていました)。

これまで1社あたり5分〜10分かかっていたリサーチ作業が、5社まとめて約3分、しかも完全放置で終わりました。この時間短縮のインパクトは、営業現場では計り知れません。


従来の自動化手法との比較——なぜCoworkが優れているのか

これまでの営業リスト作成方法と、Claude Coworkを比較してみましょう。

比較項目手作業リスト購入サービスRPAツールClaude Cowork
コスト人件費(高)1件数十円〜(中〜高)月額数万円〜(高)API利用料のみ(低)
情報の鮮度最新データベース依存(古い場合あり)設定時点のもの検索時点の最新
柔軟性高い低い低い(設定変更が必要)極めて高い(自然言語で指示)
導入ハードルなし契約が必要高い(プログラミング等)中(環境構築のみ)
エラー時の対応人間が判断サポートに連絡止まる(要修正)自己判断で回避可能

圧倒的な差別化ポイント:柔軟性と「自己修復能力」

RPAの場合、「サイトのレイアウトが変わった」だけでエラーになり、処理が止まってしまいます。ボタンの位置が変わった、IDが変わった、といった些細な変更で、せっかく作ったシナリオが動かなくなるのです。保守コストが馬鹿にならないというのは、RPA導入経験者なら痛いほど分かるはずです。

しかしClaude Coworkは画面を「見て」判断するため、「会社概要ボタンが右上に移動した」程度なら、自力で探してクリックしてくれます。この「自己修復的な柔軟性」こそが、AIエージェントの真骨頂であり、RPAとの決定的な違いです。


私が実際に試して見えてきた「活用の勘所」と注意点

ここからは、一般的な情報ではなく、私自身が実際にClaude Coworkを使い込んでみて感じた「勘所」と注意点をお伝えします。

処理速度は「人間より少し速い」程度——過度な期待は禁物

API経由で画面を認識・操作するため、Excelのマクロのように「一瞬」では終わりません。人間がテキパキ操作するくらいのスピード感です。5社分のリスト作成に約3分というのは、人間が集中して作業すれば10〜15分程度の作業量。劇的に速いわけではありません。

ただし、重要なのは「裏で動かしておける」こと。Claude Coworkがリスト作成をしている間、私は別のウィンドウで商談準備をしたり、電話をかけたりできます。「並列処理」という意味での時間節約効果は絶大です。

「見つかりませんでした」ルールを明確に設定する

Web上に情報がない場合、AIがずっと探し続けてループする可能性があります。私は「3分探して見つからなければ『不明』と入力して次へ進む」という条件をプロンプトに含めることで、この問題を回避しました。明確なルール設定がスムーズな運用の鍵です。

セキュリティと誤操作リスク——仮想環境での実行を強く推奨

Anthropic自身もブログで警告していますが、「指示があれば、Claudeはローカルファイルの削除といった破壊的なアクションを実行できる」というリスクがあります。指示を誤解して、関係ないファイルを削除したり、社内チャットに意図しない投稿をしたりする可能性はゼロではありません。

私のおすすめは、仮想デスクトップ(サンドボックス環境)での実行です。「操作してよいフォルダ・アプリ」を権限設定で制限するか、本番環境とは切り離した環境でテストしてから本格導入するのが安全です。

「AI活用が得意な人」と「苦手な人」の差はここで開く

Claude Coworkを使いこなせるかどうかは、結局のところ「明確な指示を出せるかどうか」にかかっています。曖昧な依頼をすれば曖昧な結果が返ってくる。これは人間の部下に仕事を任せるのとまったく同じです。

「何を」「どこから」「どんな形式で」「どこに保存するか」——この4点を明確に伝えられる人は、Claude Coworkを使いこなせます。逆に、「いい感じにやっといて」という丸投げは、AIでも人間でも失敗の元なのです。


よくある質問(FAQ)

Q1. Windows PCでは使えないのですか?

現時点(2026年1月)では、Claude CoworkはApple Silicon搭載のMacでのみ利用可能です。Windows版のデスクトップアプリやスマホアプリでは未対応となっています。Anthropicは順次対応を進めると思われますが、具体的な時期は発表されていません。

Q2. 料金はどのくらいかかりますか?

Claude Coworkを利用するには「Claude Max」プラン(月額100ドル〜200ドル)または「Claude Pro」プラン(月額20ドル)が必要です。Proプランでも利用可能になりましたが、利用枠はMaxに比べて小さくなっています。日本円で約3,000円〜30,000円程度と考えておくとよいでしょう。

Q3. 機密情報を扱う業務にも使えますか?

PCを直接操作させるため、セキュリティには十分な注意が必要です。機密性の高いファイルがあるフォルダへのアクセスは制限し、仮想環境での実行を検討してください。また、プロンプトインジェクション(悪意ある指示の埋め込み)への脆弱性もまだ完全には解消されていません。

Q4. 営業リスト作成以外にどんな業務に使えますか?

ファイル整理(Exifデータに基づく写真のリネームなど)、メール確認と返信下書き作成、競合調査資料の作成、データ分析とレポート生成など、「PC上で完結する定型的な作業」であれば幅広く対応できます。特に、複数のアプリを横断する作業(ブラウザ→Excel→PowerPointなど)に強みがあります。

Q5. 処理中に間違いを見つけたら止められますか?

はい。Claude Coworkは重要なアクションを実行する前にユーザーに確認を求める設計になっています。また、処理の途中で「待って」「やり直して」といった指示を出すことも可能です。ただし、一度実行されたファイル操作(削除など)は取り消せないため、事前のバックアップを推奨します。


まとめ:営業事務は「AIへの指示出し」スキルに変わる

「営業リスト作成」という単純作業は、これまで若手営業の登竜門のように扱われてきました。「まずはリスト1,000件作ってこい」と言われ、深夜までExcelと格闘した経験がある方も多いのではないでしょうか。

しかし、Claude Coworkのような技術を使えば、この時間は限りなくゼロに近づけることができます。今回の実証実験で分かったことは、「RPAのような厳密なシナリオ設計なしで、言葉で頼むだけでPC操作を代行してくれる未来」がすでに来ているということです。

もちろん、万能ではありません。処理速度は劇的に速いわけではないし、セキュリティ面での慎重さも必要です。しかし、「並列処理できる」「柔軟にサイト変更に対応できる」「導入ハードルが低い」という3点だけでも、従来のRPAや手作業を大きく凌駕しています。

もはや、Excelへのコピペ作業で残業するのは終わりにしましょう。空いた時間で、リストアップされた企業への「刺さる提案内容」を考えることこそが、人間にしかできない本来の営業活動なのですから。

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