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AIDMA(アイドマ)とAISAS(アイサス)の違いとは?「記憶」から「検索」へ移った消費者の主導権

1. AIDMAは「記憶」が鍵となるマス広告時代のモデル。企業が情報の主導権を握り、消費者は受け身で「覚えておいて、後で買う」という行動パターンだった。

2. AISASは「検索」と「共有」が加わったインターネット時代のモデル。消費者が自ら情報を取りに行き、購入後は発信者となって情報が循環する。

3. どちらが優れているという話ではなく、自社の商材や顧客の購買行動に合わせて使い分けることが重要。低単価の日用品はAIDMA的、高単価で検討が必要な商材はAISAS的なアプローチが有効。

「テレビCMで見たあの洗剤、スーパーの棚で見かけて思わず手に取った」という経験はありませんか。あるいは、「SNSで見かけた気になるガジェットを、その場でスマホ検索して口コミを確認してからポチった」という方も多いかもしれません。私たちの買い物には、意識していようがいまいが、一定のパターンがあります。そして、このパターンは時代とともに大きく変化してきました。

AIDMAとAISAS。マーケティングを学んだことがある人なら、一度は目にしたことがある言葉でしょう。しかし、この二つの違いを「用語の暗記」で終わらせてしまっていないでしょうか。私自身、マーケティングに携わり始めた頃は、正直なところ「なんか似たようなアルファベットの羅列だな」程度の認識でした。けれど、実務を重ねる中で気づいたのは、この二つのモデルの違いを理解することは、「人間が情報をどう受け取り、どう動くか」という本質的な変化を理解することに他ならない、ということです。

今回は、教科書的な解説にとどまらず、私たちの生活がどう変わったのかという視点から、AIDMAとAISASの本質的な違いを掘り下げていきます。


AIDMAとは何か——マス広告が最強だった時代の消費者心理

まずは、1920年代にアメリカで提唱された古典的モデル、AIDMA(アイドマ)から見ていきましょう。このモデルが生まれた時代背景を理解することで、なぜこのような構造になっているのかが腑に落ちるはずです。

インターネットが普及する前、情報の主役はテレビ、ラジオ、新聞、雑誌の「4大マスメディア」でした。企業は莫大な広告費を投じて、これらのメディアを通じて消費者にメッセージを届けていました。情報は企業から消費者へ、一方的に降り注ぐものだったのです。

AIDMAは、Attention(注目)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の5つの段階で構成されています。テレビCMなどで商品を知り、「お、良さそうだな」と興味を持ち、「これ欲しいな」と思い、その商品のことを記憶に留め、最終的にお店に行って購入する。この流れが、マス広告時代の典型的な消費者行動でした。

「Memory(記憶)」が勝負の分かれ目だった理由

AIDMAモデルで最も注目すべきは、「Memory(記憶)」というステップが含まれていることです。今の感覚からすると、なぜわざわざ「記憶」が独立した段階として設けられているのか、ピンと来ないかもしれません。しかし、これには明確な理由があります。

スマートフォンがない時代を想像してみてください。夜、家でテレビを見ていて、魅力的な新商品のCMが流れたとします。「これいいな、買ってみようかな」と思っても、その場ですぐに購入することはできません。Amazonで「今すぐ購入」をクリックするわけにはいかないのです。

消費者は、週末にスーパーやデパートに行くまで、その商品のことを覚えておかなければなりませんでした。月曜日の夜に見たCMの商品を、土曜日の買い物まで忘れずにいられるかどうか。これが、購買に至るかどうかの大きな分かれ目だったのです。

だからこそ、企業は消費者の記憶に残るための工夫を凝らしました。耳に残るキャッチコピー、思わず口ずさんでしまうCMソング、インパクトのあるキャラクター。何度も繰り返しCMを流すことで、消費者の脳内に商品を「刷り込む」必要があったのです。

「お口の恋人」「セブンイレブン、いい気分」「やめられない、とまらない」——こうしたフレーズが今でも多くの人の記憶に残っているのは、まさにAIDMA時代のマーケティングの遺産と言えるでしょう。


AISASとは何か——インターネットが変えた消費者の能動性

2000年代に入り、インターネットが爆発的に普及すると、消費者の行動は劇的に変わりました。そこで2004年に電通が提唱したのがAISAS(アイサス)です。

AISASは、Attention(注目)、Interest(興味)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の5段階で構成されています。AIDMAと比較すると、「Desire(欲求)」と「Memory(記憶)」がなくなり、代わりに「Search(検索)」と「Share(共有)」が加わっています。この変化は、単なる言葉の入れ替えではありません。消費者行動の本質的な転換を表しているのです。

「Search(検索)」が生んだ情報の民主化

AISASの最大の特徴は、興味を持ったらその場で「Search(検索)」できるようになったことです。テレビCMで気になる商品を見つけたら、リモコンを置いてスマホを手に取り、すぐに検索できます。わざわざ週末まで記憶しておく必要はなくなりました。

しかし、より本質的な変化は、消費者が「企業の言葉」以外の情報にアクセスできるようになったことです。

AIDMA時代、消費者が得られる情報は、基本的に企業がコントロールしたものでした。CMで「すごくいい商品です」と言われれば、それを信じるしかなかった。もちろん友人・知人からの口コミはありましたが、情報の範囲は限定的でした。

ところがインターネットの普及により、消費者は公式サイトの情報だけでなく、比較サイト、レビューサイト、個人のブログ、SNSの投稿など、多様な情報源にアクセスできるようになりました。企業が「最高の商品です」と宣伝しても、検索結果に「買って後悔した」「期待はずれだった」という口コミが並んでいれば、消費者は購入をためらいます。

情報の主導権が、企業から消費者へと移った。これが、AIDMAからAISASへの転換の核心です。

ゴールが「購入」から「Share(共有)」へ拡張された

もう一つの大きな変化が、購入後の「Share(共有)」が加わったことです。

AIDMAモデルでは、「Action(行動)=購入」がゴールでした。買ってもらえれば、そこでマーケティングの仕事は完了です。しかしAISASでは、購入はゴールではなく、むしろ新たなサイクルの始まりになります。

商品を購入した消費者は、その体験をSNSやブログに投稿します。「この化粧品、すごく良かった!」という一言のツイートが、フォロワーの目に留まり、新たな「Attention(注目)」を生み出す。この情報の循環が、現代マーケティングの特徴です。

企業にとって、これは諸刃の剣でもあります。良い体験が共有されれば、広告費をかけずに認知が広がる。しかし悪い体験が拡散されれば、ブランドイメージが一気に毀損されるリスクもある。「Share」のステップが加わったことで、マーケティングは単なる「売るための活動」から、「顧客体験全体を設計する活動」へと進化を求められるようになったのです。


AIDMAとAISASの比較:何が変わり、何が変わらないのか

ここまでの内容を整理するために、両モデルの違いを表形式でまとめておきます。

比較項目AIDMAAISAS
提唱時期1920年代(アメリカ)2004年(電通)
時代背景マスメディア全盛期インターネット普及後
情報の流れ企業→消費者(一方向)双方向・循環型
中心となるメディアテレビ、新聞、雑誌、ラジオWeb、SNS、検索エンジン
特徴的なステップMemory(記憶)Search(検索)、Share(共有)
消費者の立ち位置受動的(情報を受け取る)能動的(情報を探す・発信する)
購入までの時間軸数日〜数週間即時〜数時間
ゴール購入購入+共有(循環)

この表を見ると、両モデルの違いが単なる「言葉の違い」ではなく、消費者と企業の関係性そのものの変化を反映していることが分かります。


AIDMAは本当に「時代遅れ」なのか

「今はネット時代だから、AIDMAはもう古い」——こうした言説を耳にすることがあります。しかし、私はこの考え方には賛同しません。

確かに、高額商品やBtoB商材の購入においては、AISASモデルがより実態に近いでしょう。家電を買う前にスペックを比較検索しない人は少ないでしょうし、SaaSツールを導入する前に口コミや事例を調べるのは当然のことです。

しかし、すべての購買行動がAISAS的かというと、そうではありません。

コンビニでの買い物を思い浮かべてみてください。「喉が渇いたな」と思ってコンビニに入り、冷蔵ケースの前に立ち、並んだペットボトルの中から一つを選ぶ。この瞬間、あなたは「検索」をしていますか? 「この炭酸水の口コミをチェックしよう」とスマホを取り出しますか?

おそらく、多くの場合はそうではないでしょう。棚に並んだ新商品のパッケージを見て(Attention)、なんとなく美味しそうだと感じ(Interest/Desire)、以前CMで見たことがあるような気がして(Memory)、カゴに入れる(Action)。この一瞬の判断には、「検索」も「共有」も介在しません。

低単価な日用品や、衝動買いしやすい商材においては、依然として「店頭で思い出してもらう」というAIDMA的なアプローチが有効なのです。スーパーの棚で「あ、この商品CMで見たな」と思い出してもらえるかどうか。この「Memory(記憶)」の勝負は、2025年の今でも続いています。


私が実感した「使い分け」の重要性

ここからは少し私自身の経験をお話しさせてください。

以前、ある食品メーカーのマーケティング支援に携わったことがあります。新商品の発売にあたり、「とにかくSNSでバズらせたい」という要望をいただきました。当時はSNSマーケティングが注目を集めていた時期で、「今の時代はShare(共有)が大事だ」という空気が強かったのです。

しかし、その商品は100円台のお菓子でした。購入の場面は、主にコンビニやスーパーの棚の前。SNSでバズったとしても、その投稿を見た人が「よし、買いに行こう」と行動を起こすには、タイムラグがあります。そして、100円のお菓子のために、わざわざ店舗に足を運ぶ人がどれだけいるでしょうか。

結局、私たちが提案したのは、SNS施策と並行して、店頭での「パッケージ訴求」と「テレビCMの記憶定着」を重視する戦略でした。SNSでの話題化は「Attention(注目)」を生むために活用しつつ、最終的な購買は「店頭で思い出してもらう」というAIDMA的なアプローチに落とし込んだのです。

この経験から学んだのは、「どちらのモデルが正しいか」ではなく、「自分の顧客はどちらの動きをしているか」を見極めることの重要性です。流行っているからといってAISAS的な施策に飛びつくのではなく、自社の商材と顧客の購買行動を冷静に分析することが、成果につながる施策選定の第一歩だと感じています。


商材別に見るモデルの適用イメージ

それでは、具体的にどのような商材がどちらのモデルに近いのか、いくつかの例を挙げて整理してみましょう。

商材カテゴリ適用モデル理由・特徴
食料品・飲料AIDMA寄り低単価、店頭での即決購入が多い。CMやパッケージの記憶が重要
日用雑貨AIDMA寄り検討時間が短く、ブランド想起が購買を左右する
家電・ガジェットAISAS寄り高単価、失敗したくないため事前検索が必須
コスメ・美容AISAS寄り口コミ・レビューの影響力が非常に大きい
BtoBサービスAISAS寄り複数人での検討、比較検討が前提
ファッション(低単価)中間衝動買いもあるが、SNSでの「Share」がトレンドを形成
自動車・不動産AISAS寄り超高単価、長期の検討プロセスと多角的な情報収集

この表はあくまで一般的な傾向であり、個別の商品やターゲット層によって異なる場合もあります。重要なのは、「うちの商品を買う人は、どんな行動をしているか」を具体的にイメージすることです。


よくある質問(FAQ)

Q1. AIDMAとAISASはどちらを覚えておけばいいですか?

両方を理解しておくことをおすすめします。どちらか一方だけを知っていると、自社の商材に合わない施策を選んでしまうリスクがあります。特に、低単価の日用品を扱っている場合にAISAS的なアプローチだけを重視すると、本質的な購買行動とズレが生じる可能性があります。

Q2. 最近は「AISAS以外」のモデルも聞きますが、違いは何ですか?

AISASの派生形や発展形として、AISCEAS(比較・検討を加えたもの)、SIPS(共感を重視したSNS時代のモデル)、DECAX(コンテンツマーケティング向け)などがあります。これらは、特定の業界やマーケティング手法に特化して設計されたものです。基本となるAIDMAとAISASを理解した上で、自社に合ったモデルを選んだり、カスタマイズしたりするのが実務的なアプローチです。

Q3. BtoB商材の場合、どちらのモデルが適切ですか?

BtoB商材は、ほぼ例外なくAISAS寄りのモデルが適用されます。購買に複数の意思決定者が関与し、導入前の比較検討が必須となるためです。特に「Search(検索)」の段階が重要で、公式サイトの情報、導入事例、第三者メディアの記事など、多角的な情報提供が求められます。

Q4. SNSが普及した今、「Memory(記憶)」は本当に重要ですか?

依然として重要です。むしろ、情報過多の時代だからこそ、「記憶に残る」ことの価値は高まっているとも言えます。SNSのタイムラインは流れていくため、一瞬で忘れられてしまうコンテンツも多い。その中で「あ、あのブランドだ」と想起してもらえることは、大きなアドバンテージになります。


まとめ:用語を覚えることがゴールではない

AIDMAとAISAS。この二つのモデルは、マーケティングの入門書には必ずと言っていいほど登場します。しかし、用語を暗記することがゴールではありません。

大切なのは、「自分の顧客は、どのような行動パターンで購買に至っているのか」を深く理解することです。テレビCMを見て店頭で思い出す人なのか、SNSで見かけてその場で検索する人なのか。購入後に口コミを投稿してくれる人なのか、静かに使い続けてくれる人なのか。

この顧客像が明確になれば、打つべき施策も見えてきます。記憶に残るCMを作るべきなのか、検索結果で上位を取るSEO施策に投資すべきなのか、SNSでのShare(共有)を促すキャンペーンを企画すべきなのか。

AIDMAとAISASは、その判断の起点となる「考え方の枠組み」です。この二つのモデルの違いを本質的に理解することで、「なんとなく施策を打つ」状態から、「顧客行動に基づいて施策を設計する」状態へとステップアップできるはずです。

時代は確かにAIDMAからAISASへと移り変わりました。しかし、人間が「知って、興味を持って、欲しくなって、行動する」という基本的な流れは変わっていません。変わったのは、その過程で消費者が持つ「情報へのアクセス権」と「発信する力」です。この変化を踏まえた上で、自社の商材と顧客に最適なアプローチを見つけていただければと思います。

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