セールス現場で使えるGemini AI関数の実践活用法|商談メモから次アクションまで自動化する方法
営業活動で「商談メモを読み返す」「CRMに転記する」作業に時間を取られていませんか? GoogleスプレッドシートのGemini AI関数を使えば、テキストデータの整理を大幅に効率化できます。本記事では、次アクション・期限・担当の抽出、リードの温度感判定(Hot/Warm/Cold)、失注理由のラベル統一、BANT情報の不足項目洗い出しなど8つの具体例を紹介。出力フォーマットを固定し、判定基準をプロンプトに明記することで、誰が使っても同じ結果が得られる再現性の高い運用が実現します。
営業の仕事で、商談メモを読み返したり、問い合わせ内容をCRMに転記したりする作業に時間を取られていませんか。実はこの「読む・まとめる・転記する」という一連の流れこそ、営業活動のボトルネックになりやすい部分です。
GoogleスプレッドシートにはGemini AI関数(=AI / =Gemini)という機能があり、これを活用することでテキストデータの整理を大幅に効率化できます。本記事では、セールス業務に特化したAI関数の具体的な使い方を、コピペで使える実例とともに解説します。
AI関数とは何か|サイドパネルとの違いを押さえる
Googleスプレッドシートには、サイドパネルから呼び出せるGeminiと、セル内で動作するAI関数の2種類があります。サイドパネルのGeminiはシート全体の操作支援が得意ですが、営業データの処理で威力を発揮するのはセル単位で動くAI関数のほうです。
運用の基本形はシンプルです。A列に商談メモやメール要旨、通話ログなどのテキストを貼り付けておき、B列以降にAI関数を入れて「要約」「タグ付け」「次アクション」といった情報を自動で抽出します。その後の集計やCRMへの転記は、通常の関数やフィルタ、ピボットテーブルで処理すれば問題ありません。
ここで大切なのは、AI関数に万能を求めないことです。AIで何でも解決しようとするのではなく、CRM入力や会議資料、フォローアップが回るように「同じ形式で出力させる」ことに集中してください。セールス用途では再現性こそが価値になります。
営業現場で効果的なAI関数の使い方8選
以下では、営業プロセスに直結しやすい順番で具体的な活用例を紹介します。いずれもA2セルにテキストが入っている前提で記載しています。
商談メモから次アクション・期限・担当を抽出する
営業で最も効果が高いのが、商談メモからフォローに必要な情報を抜き出す使い方です。
=AI("このメモから(1)次アクション(2)期限(あれば日付)(3)担当者(名前があれば)を抽出。なければ『不明』。出力は『次アクション|期限|担当』。", A2)
この関数で抽出した結果をフィルタにかけて「期限が近い順」に並べるだけで、フォロー漏れを防ぐ仕組みが完成します。シンプルですが、現場での効果は絶大です。
リードの温度感をHot・Warm・Coldで判定する
見込み客の優先順位付けに使えるのが、温度感の自動判定です。
=AI("次の内容をHot/Warm/Coldのいずれか1つで判定。Hot=今月検討/予算あり/決裁者が関与。Warm=情報収集/時期未定。Cold=興味薄/連絡不可/保留長期。出力は判定のみ。迷ったらWarm。", A2)
ポイントは「迷ったらWarm」という逃げ道を用意しておくことです。判断に迷うケースで出力がブレるのを防げます。判定基準をプロンプト内に明記することで、誰が使っても同じ結果になりやすくなります。
顧客の反論を分類して営業資料の改善に活かす
商談中に出てきた反論(オブジェクション)を正規化しておくと、営業育成や提案資料の改善に役立ちます。
=AI("この内容に含まれる反論を『価格』『機能』『競合』『時期』『社内事情』『その他』から1つ選び、根拠フレーズを20文字以内で添えて。『分類|根拠』で出力。", A2)
根拠を短く固定するのがコツです。長い説明を許容すると出力がバラついて、後から集計しづらくなります。
失注理由をラベルで統一する
失注分析を回すためには、理由のラベルを統一することが欠かせません。
=AI("この失注メモを『価格』『機能不足』『競合勝ち』『時期延期』『優先度低下』『社内稟議NG』『その他』のいずれか1つに分類。出力は分類名のみ。迷ったら『その他』。", A2)
失注理由は自由入力にしてしまうと、表記ゆれや抽象的な記述が増えて分析が困難になります。選択肢を固定することで、ピボットテーブルでの集計がスムーズになります。
商談ステージの一次判定を自動化する
CRMのステージ更新を補助する使い方です。
=AI("次のメモから商談ステージを『初回ヒアリング』『提案』『見積提示』『稟議中』『クロージング』『停滞』『失注』『不明』の1つで判定。出力はステージ名のみ。", A2)
最終的な判断は人間が行うことを前提に、一次判定として活用するのが安全です。大量の商談データを処理する際の下準備として重宝します。
BANT情報の不足項目を洗い出す
次回のヒアリングで何を聞くべきかを明確にしたいときに便利です。
=AI("このメモからBANT(Budget/Authority/Need/Timing)を推定し、不足している項目だけを列挙。出力は『不足:Budget,Authority...』形式。全部揃っていれば『不足:なし』。", A2)
特に若手メンバーへのフィードバックや、商談前の準備確認に向いています。何を聞き忘れているかが一目でわかるため、ヒアリングの質が上がります。
競合名と比較されている観点を抽出する
競合対策の情報を蓄積するための関数です。
=AI("文中の競合名があれば抽出し、比較されている観点を1つに要約。なければ『なし|なし』。出力は『競合|比較観点』。", A2)
単に競合名を取るだけでなく、「何で比較されているか」まで抽出できると、営業資料や製品改善の施策に落とし込みやすくなります。
フォローアップメールの下書きを生成する
商談後のフォローメール作成を効率化する使い方です。
=AI("次の商談メモを元にフォローアップメールを作成。件名1つ+本文。本文は(1)お礼(2)合意事項(3)宿題/次アクション(4)日程候補2つ。簡潔に。", A2)
「簡潔に」と指定することで、長文化を防げます。自社の文体ルールがある場合は、プロンプトに追記してください。
運用を安定させるための3つのコツ
出力フォーマットを必ず固定する
営業は後工程が命です。AI関数の出力形式を統一しておかないと、集計や転記の段階で手戻りが発生します。区切り文字(例:|)を指定し、可能な限り出力は1語や固定フレーズに寄せてください。「分類名のみ」「迷ったらその他」といった指示を入れることで、出力のブレを抑えられます。
列を分けて段階処理する設計にする
AI関数の結果をそのまま集計したい場合は、列設計を工夫します。B列でAI関数を使って「要約|不満点|感情」のような固定形式で出力し、C列以降で通常の関数を使って分解する流れが安定します。AI関数は他の関数にネストしない前提で設計するのが無難です。
判定基準をプロンプト内に書き込む
「Hotの定義はこう」「ネガティブとはこういう状態」といった社内ルールをプロンプトに直接書き込んでおくと、判定のズレが減ります。逆に、基準を示さずに「いい感じに分類して」と指示すると、結果がバラつきやすくなります。
AI関数を使う際の注意点
営業でAI関数を使う場合、ハルシネーション(事実と異なる内容の生成)よりも怖いのは運用事故です。
まず、AIの出力を鵜呑みにしないことが大前提です。見積条件や契約内容、法務関連、納期といった情報は、AIが断定的に出力しても必ず人間が確認してください。AI関数はあくまで補助ツールです。
また、顧客情報や契約情報を扱う場合は、組織のセキュリティポリシーを優先してください。管理者設定や利用規約、社内規程を事前に確認しておくことが重要です。
さらに、AI関数で生成したテキストを挿入すると、それはあなたの編集として記録されます。監査や責任分界の観点から、この点をチーム内で共有しておくとトラブルを防げます。
まとめ|小さく始めて改善ループを回す
Gemini AI関数の価値は、天才的なコピーを作ることではありません。商談メモや問い合わせを同じ形式に揃え、次アクションに変換し、CRMや会議で使える状態にすることにあります。
まずは小さく始めてみてください。「次アクション抽出」「温度感判定(Hot/Warm/Cold)」「失注理由ラベル」のうち、どれか1つだけ列を増やして試すのが現実的です。
運用が回り始めたら、反論分類やBANT不足抽出まで拡張してみましょう。こうした仕組みが整うと、営業組織全体の改善ループが回り始めます。