【2026年1月最新】Googleスプレッドシート「Gemini AI関数(=AI / =Gemini)」完全ガイド:テキスト生成・要約・分類を”セルの中”で回す方法
2025年以降、GoogleスプレッドシートにGeminiが本格統合され、セルに直接書けるAI関数(=AI / =Gemini)が実務で活用できるようになりました。 本記事では、2026年1月時点の仕様・制約を整理し、アンケート自由記述の感情分析、問い合わせの自動分類、商談メモからの次アクション抽出など7つの実務ユースケースを紹介します。出力フォーマット固定や350セル上限といった運用の勘所、Apps Scriptでの拡張についても解説しています。
Sheetsは”集計する場所”から”意味付けする場所”へ変わった
2025年にGeminiがスプレッドシートへ本格統合されて以降、Sheetsの役割が明らかに変わってきました。以前は「入力して集計する場所」だったものが、いまやデータを整えて、意味付けして、次のアクションに変える場所になりつつあります。
その中心にあるのが、セルに直接書けるAI関数(=AI() / =Gemini())です。
この記事では、2026年1月時点で押さえるべき仕様——できること、できないこと、そして運用の勘所——を、実務ユースケース中心にまとめていきます。
この記事の想定読者
アンケートの自由記述、問い合わせ、議事メモ、商品説明など、いわゆる「非構造化テキスト」をSheetで扱っている方を主な対象としています。既存の関数やピボットは使えるけれど、整形・タグ付け・要約がボトルネックになっている。Geminiを「便利ツール」ではなく、再現性やガバナンスも含めて運用に組み込みたい。そんな方に向けて書いています。
Gemini AI関数(=AI / =Gemini)とは?
GoogleスプレッドシートのAI関数は、セルに次のように書くだけで、Geminiがテキスト生成・要約・分類・感情分析などを実行し、結果をセルに返す仕組みです。
=AI("指示文", 範囲)
=Gemini() でも同様に使えます。2026年1月時点では、Google検索の最新情報を参照する用途(例:首都・人口など)も公式に案内されています。
まず押さえる:Gemini in Sheets は「2系統」ある
Sheetsに組み込まれたGemini機能には、大きく2つの系統があります。混同しやすいので、最初に整理しておきましょう。
サイドパネル(Ask Gemini / Help me organize)
Sheets右上のGemini(Ask Gemini)や「Help me organize」から呼び出す系統です。表作成、分析、グラフ作成、ピボットやフィルタなど、シート全体に対する「操作」を手伝わせるのが主な用途になります。
セル内のAI関数(=AI / =Gemini)
一方、「セル単位で回す」のがAI関数です。行ごとの要約・タグ付け・分類など、業務フローに埋め込みやすいのはこちらになります。
この記事では後者のAI関数を主役として扱います。
2026年1月時点の「できること」早見
AI関数で公式に案内されている代表的な機能は次のとおりです。テキスト生成(データに合わせた文の生成)、要約、分類(カテゴリ付けやスパム判定など)、感情分析(ポジティブ/ネガティブ/中立など)、そしてGoogle検索を使った最新情報の取得(指示による)が挙げられます。
加えて、AI関数は日本語を含む複数言語に対応しており、2025年秋に日本語提供が公式アナウンスされています。
【実務で効く】Gemini AI関数ユースケース 7選
ここからは「CRM前段の整流」に効く順で、具体的なユースケースを紹介していきます。
1) アンケート自由記述を「要約+不満点抽出+感情」で規格化する
目的は、読む作業をやめて、会議で意思決定できる粒度に落とすことです。
=AI("次の文章を(1)一文要約 (2)不満点を箇条書き (3)感情をポジ/ネガ/中立で出力して。出力は『要約|不満点|感情』の順で。", A2)
ポイントは「出力フォーマット固定」にあります。後工程の集計やフィルタが壊れにくくなるからです。
2) 問い合わせメール(貼り付けログ)を「種別タグ」に自動分類する
受信箱やCSの一次仕分けをSheet側で再現するのが目的です。
=AI("この問い合わせを『見積』『契約』『請求』『不具合』『その他』のいずれか1つに分類し、理由を20文字以内で添えて。出力は『分類|理由』。", A2)
3) 商談メモから「次アクション」「期限」「担当」を抜く
「会議後が一番漏れる」を潰すのが狙いです。
=AI("このメモから(1)次アクション (2)期限(あれば日付) (3)担当者(名前があれば)を抽出。なければ『不明』。出力は『次アクション|期限|担当』。", A2)
4) 商品名・説明文から「カテゴリ」「季節」「特徴タグ」を付ける
ECサイトや商品マスタの整備に効きます。
=AI("この商品説明を『カテゴリ(1つ)』『季節(複数可)』『特徴タグ(3つまで)』に整理して。出力は『カテゴリ|季節|タグ』。", A2)
5) 営業リストの会社情報を「業種ラベル」に寄せる
リードの属性付けを自動化したい場面で使えます。
=AI("この会社概要を『製造』『IT/SaaS』『建設』『小売』『医療』『教育』『その他』で分類。根拠となるキーワードを1つだけ添えて。出力は『業種|根拠』。", A2)
6) “表現ゆれ”の正規化(部署名・役職名・都道府県など)
名寄せや集計の前処理として地味に重宝します。
=AI("この部署名を日本企業で一般的な表記に正規化して(例:営業本部/営業部/営業課)。可能なら階層も推定して『本部>部>課』形式で。", A2)
7) Google検索で最新情報を拾う(ただし用途は限定する)
公式ヘルプ上、AI関数はGoogle検索の最新情報取得に触れています。ただし業務での鉄則は「参照していい情報だけ」に限定すること。外部情報の正確性は保証されないため、後述の注意点も併せて確認してください。
AI関数の使い方:最短手順
操作自体はシンプルです。まずセルに =AI("指示", A2) のように入力します(=Gemini() でも可)。次に、AI関数が入ったセル(複数選択可)を選び、「Generate and Insert」(生成して挿入)を押します。必要に応じて「Refresh and Insert」(再生成)で更新することもできます。
補足として、生成して挿入すると、版履歴上は「あなたが編集した」扱いになります。監査や運用の観点では押さえておきたいポイントです。
2026年1月時点の重要な制約(ここで事故が起きる)
便利な機能ですが、制約を知らないまま使うと運用が崩れます。ここは特に注意してください。
出力は「テキストのみ」
表・数値・配列を期待しすぎると設計が崩れます。AI関数の返り値はあくまでテキストです。
スプレッドシート全体やDriveの別ファイルは見ない
参照させたいデータは、同じシートに置いて「範囲」で渡すのが基本です。別タブや別ファイルの情報は自動で読み込まれません。
“埋め込み(ネスト)”できない
=IF(AI(...), ...) のような使い方は不可と明記されています。つまり「AI→結果を確定→別列で通常関数」が基本フローになります。
生成は一括に上限がある(最大350セル)
公式ヘルプでは、複数セル選択で生成できるが最初の350セルまでとされています。上限に達したら分割運用が必要です。なお、過去の案内では200セル上限として説明されていた時期もあるため、環境・時期で変動する前提で運用設計するのが安全です。
Box/Dropbox/Egnyte連携で開いているSheetsでは使えない
地味にハマりどころです。外部ストレージ連携で開いているシートでは動作しません。
プロンプト設計のコツ:精度より”運用が壊れない”を優先する
AI関数を業務に入れるなら、狙うべきは「たまに神回答」ではなく「毎回そこそこ同じ形で返る」ことです。
コツ1:出力フォーマットを固定する
区切り文字(|)を指定する、選択肢を列挙して「この中から1つ」と制約する、文字数制限(20文字以内など)を付ける。こうした工夫で後工程が安定します。
コツ2:範囲(コンテキスト)を必ず渡す
ヘルプでも「範囲指定を強く推奨」とされています。指示文だけでは文脈が足りず、精度が落ちやすくなります。
コツ3:判定ルールを先に書く
たとえば「ネガ判定=不満/遅延/高い/不具合が含まれる」など、判断基準を明示しておくと「それっぽいけどズレる」が減ります。
料金・提供条件:どの環境でも使えるわけではない
AI関数を含むGemini機能は、対象となるGoogle WorkspaceまたはGoogle AIプランが必要と明記されています。また、管理者設定や言語設定によって使えないケースもあり得ます。
なお、Googleは2025年以降、WorkspaceのBusiness/EnterpriseエディションでAI機能を段階的に組み込んだことを案内しています。情シスや管理者の方は、自社の契約プランを確認しておくことをおすすめします。
それでも「Apps Scriptで自作AI関数」を検討する場面
忖度なしで言うと、多くのケースでネイティブの =AI() があるなら自作は不要です。
ただし次に当てはまるなら、Apps Script(GAS)での拡張が現実的になります。大量行をバッチ処理したい場合(350セルずつ手でGenerateは運用が苦しい)、ログを残したい場合(いつ・誰が・どのプロンプトで・何を生成したか)、モデル・温度・JSON固定など生成の振る舞いを制御したい場合、外部DBやWebhookに流したい場合(Sheetを”入口”にしたい)などが該当します。
なお、ネイティブAI関数と同名(AI / Gemini)のカスタム関数を作ると、Sheets側にリマップされると明記されています。自作するなら別名にしてください。
【参考実装】GASで “別名AI関数” を作る最小例(=GEMINI_API)
Gemini APIは generateContent を提供しており、APIキーで呼び出せます。以下は構造が分かる最小形です(モデル名は時期で変わるので、最新は公式を参照してください)。
/**
* =GEMINI_API("指示文", A2:A10)
* @param {string} prompt
* @param {Range} range
* @return {string}
* @customfunction
*/
function GEMINI_API(prompt, range) {
const apiKey = PropertiesService.getScriptProperties().getProperty('GEMINI_API_KEY');
if (!apiKey) return 'Missing GEMINI_API_KEY';
// range を1つのテキストにまとめる(運用ではCSV化/JSON化など推奨)
const values = Array.isArray(range) ? range.flat() : [range];
const context = values.filter(v => v !== '' && v != null).join('\n');
const url = 'https://generativelanguage.googleapis.com/v1beta/models/gemini-1.5-flash:generateContent?key=' + apiKey;
const payload = {
contents: [{
role: "user",
parts: [{ text: prompt + "\n\n---\n\n" + context }]
}]
};
const res = UrlFetchApp.fetch(url, {
method: 'post',
contentType: 'application/json',
payload: JSON.stringify(payload),
muteHttpExceptions: true,
});
const json = JSON.parse(res.getContentText() || '{}');
const text = json?.candidates?.[0]?.content?.parts?.[0]?.text;
return text || 'No output';
}
UrlFetchApp を使った外部API呼び出し自体はApps Scriptの標準機能ですが、Apps Scriptにはクォータ(呼び出し回数・実行時間など)があり、業務量によってはすぐ壁になります。そのため「行ごとに関数を叩く」より、メニュー実行のバッチ(1回で範囲処理)にした方が運用は安定しがちです。
注意点:ハルシネーションより危ない”運用事故”がある
AIは「確率で返す」ので、厳密な正解が必要な場面は避ける
数値計算の正しさ、契約条文の断定、法務・税務・医療の判断——このあたりは「補助」に留めるべきです。誤りがゼロにならない前提で設計してください。
機密データは、組織の設定とポリシーを先に確認
AI機能は管理者設定の影響を受けます。個人アカウントやテスター機能を混ぜるとガバナンスが壊れやすいので、社内ルール優先で運用するのが鉄則です。
“生成して挿入”は履歴上あなたの編集になる
監査・責任分界の観点で地味に大事なポイントです。「AIが書いた」は言い訳にならない点を組織内で共有しておきましょう。
まとめ:AI関数は「便利機能」ではなく”整流レイヤー”として使う
=AI() / =Gemini() の価値は、関数を覚えることではありません。散らかったテキストを、分類・要約・タグ化して、次の工程(営業/CS/経理)に渡せる形へ整える——ここに尽きます。
まずは小さく、次のどれか1つから始めるのが現実的です。アンケート自由記述から感情/不満点/要約を出す、問い合わせログに種別タグを付ける、商談メモから次アクションを抽出する。どれも5分で試せます。
おまけ:コピペで使える”運用向けプロンプト”テンプレ(3本)
テンプレ1:分類(選択肢固定)
=AI("次の文章を『A』『B』『C』『その他』のいずれか1つに分類。出力は分類名のみ。迷ったら『その他』。", A2)
テンプレ2:要約(文字数固定)
=AI("次の文章を60文字以内で要約。固有名詞は残す。", A2)
テンプレ3:次アクション抽出(欠損時ルール)
=AI("次アクション/期限/担当を抽出。なければ『不明』。出力は『次アクション|期限|担当』。", A2)