顧客データ設計の基本:列を増やす前に決めるべき5つのルール – ファネルAi
イベント お役立ち お知らせ
詳しく知る デモを予約

顧客データ設計の基本:列を増やす前に決めるべき5つのルール

顧客管理が回らないとき、列を増やすのは逆効果です。 入力負担が増え、重複が生まれ、だれも信用できないデータになります。本記事では、列を増やす前に決めるべき5つのルールを解説。「何の意思決定に使うか」を先に決める、名寄せキー(会社はドメイン、人物はメールアドレス)を固定する、”正”となる情報を明確にする、マスタと活動ログを分離する、必須・任意・自動取得を区分する。この順番で整えれば、顧客管理は安定します。

「顧客管理が回らないから、とりあえず列を足して対応しよう」——この判断、実は後から一番響いてくる落とし穴です。

列を増やせば便利になると思いがちですが、現実には入力の負担が増え、重複が生まれ、検索できなくなり、引き継ぎもできなくなるという悪循環に陥ることが少なくありません。

顧客データ設計で本当に大事なのは、先に「運用ルール」を決めて、必要最小限のデータで業務が回る状態を作ること。この記事では、スプレッドシートでもCRMでも共通して使える「列を増やす前に決めるべき5つのルール」を、実務の観点から整理していきます。


なぜ「列を増やす」ほど顧客管理は壊れやすくなるのか

列が増えるたびに起きる問題は、突き詰めると3つに集約されます。

まず、入力する人によって埋め方がバラバラになること。表記ゆれ、空欄、勝手なメモ書き。同じ「株式会社」でも「(株)」と書く人がいれば、省略する人もいます。

次に、同じ意味の情報が複数の列に散らばること。「担当者」「窓口」「決裁者」「キーマン」など、似たような列がどんどん増殖していきます。

そして最後に、どれが正しい情報なのか分からなくなること。「最新」「確定」「暫定」が混ざり合い、結局だれも信用できないデータになってしまいます。

つまり、これは列そのものの問題ではなく「設計と運用の問題」なのです。ここから先は、列を増やすかどうかではなく、列を支えるルールをどう固めるかに焦点を当てて解説していきます。


ルール1:そのデータは「何の意思決定」に使うかを先に決める

顧客データは、集めること自体が目的ではありません。次のアクションを決めるために存在しています。

よくある失敗:目的のない列が増えていく

「業種」「従業員数」「売上規模」といった項目を追加したものの、結局だれも活用しない。そんな経験はないでしょうか。使われない列は入力もされなくなり、空欄が増え、データ全体の信頼性が下がっていきます。

実務で効く決め方:列を作る前に”使い道”を1行で書く

新しい列を追加するときは、必ず次の3つを明確にしてください。

「何の判断に使うのか」——たとえば優先度の判断なのか、提案内容の選定なのか、配信セグメントの分類なのか。「いつ使うのか」——初回商談の前なのか、見積作成時なのか、追客のタイミングなのか。「だれが使うのか」——インサイドセールスなのか、フィールドセールスなのか、カスタマーサクセスなのか、マーケティングなのか。

使う場面を具体的に説明できない列は、作らない方が運用は安定します。


ルール2:「名寄せキー」を先に固定する

顧客管理が壊れる最大の要因は、重複です。そして重複は、ほぼ100%「名寄せキーが曖昧」なことから始まります。

最低限の方針:会社はドメイン、人物はメールアドレス

おすすめの最小セットは、会社の同一判定にはドメイン(例:logo-labo.com)、人物の同一判定にはメールアドレスを使うことです。

法人名や担当者名は表記ゆれが起きやすいですが、ドメインとメールアドレスは基本的に揺れにくい。この2つを先に固定しておくと、後の列設計が格段に楽になります。

例外の扱いも最初に決めておく

フリーメール(gmail.comなど)は会社の判定キーとしては使わない、グループアドレス(sales@など)は人物ではなく窓口として扱う、子会社や支店・事業部は同一会社として束ねるのか分けるのか——こうした例外を「運用で吸収しよう」とすると、必ず事故が起きます。最初にルール化しておくことが安定運用の鍵です。


ルール3:「正」はどれかを決める

同じ意味の情報が複数の列や複数のファイルに存在すると、絶対にズレが生じます。ズレた瞬間、現場からはこんな声が上がります。

「どれが最新か分からないから、使えない」

こうなると、せっかく整備したデータも意味をなさなくなります。

決めるべきことはシンプル

この項目の”正”はどの列なのか。たとえば担当者情報はこの列だけに記録する、と決める。更新していいのはだれなのか。たとえば担当者列はマネージャーのみが更新できる、とする。更新のタイミングはいつなのか。たとえば商談が確定した時点で更新する、と決める。

こうした取り決めを「Single Source of Truth(単一の真実)」と呼びます。どれが正しいかを迷わせない設計が、データの信頼性を守ります。

おすすめの設計:IDと表示名を分ける

たとえば「会社名」だけを持っていると、どうしても表記ゆれが増えます。そこで、company_id(固定のID)、会社名(表示用)、ドメイン(名寄せ用)という形で分けておくと強いです。IDがあるだけで、後からの統合作業や引き継ぎが圧倒的に簡単になります。


ルール4:「更新頻度」で列を分ける

顧客データには大きく分けて2種類あります。

マスタは、会社名やドメイン、担当者、ステータスといった基本情報です。頻繁には変わらない、いわば「静的な情報」。

活動ログは、メールのやり取りや会議の記録、メモ、次のアクション予定といった、時系列で増えていく「動的な情報」です。

この2つを同じ表で管理しようとすると、「最新メモ」「最新の会話内容」「次回予定」といった列がどんどん増殖し、過去の情報が上書きされて消えていきます。

結論:活動は”ログ”として積み上げる

顧客マスタは1社1行(人物なら1人1行)でシンプルに保ち、活動ログは1つの活動につき1行ずつ追加していく形にする。日時、種別(メール・会議・電話・メモなど)、要点、担当者、次のアクションと期限を記録していく。

マスタは軽く保ち、活動はログとして蓄積する。この切り分けだけで、「列を増やすしかない」という発想から抜け出せます。


ルール5:「空欄OK/必須/自動取得」を決める

運用が止まる理由の多くは、シンプルに「入力が面倒だから」です。だからこそ、項目ごとに入力の扱いを最初から設計に組み込んでおく必要があります。

3分類するだけで運用は回り始める

必須は、空欄だと業務が進まない項目です。会社名またはドメイン、担当者、ステータスなど、本当に欠かせないものだけに絞ります。

任意は、あると便利だけれど、なくても業務は回る項目です。紹介元や役職、課題メモなどがこれにあたります。ただし、任意項目を増やしすぎると結局だれも入力しなくなるので注意が必要です。

自動取得は、人が手で入力しない項目です。最終接触日、メールの送受信件数、次回予定日など、システムから自動で反映される情報はできるだけ自動化します。

「全部入れてください」というルールは、現場では絶対に実現しません。必須を絞り、任意を増やしすぎず、自動取得を増やす。これが現実的な解決策です。


5つのルールを反映した最小テンプレ

ここまでのルールを踏まえて、実際の列構成の最小例を紹介します。これをベースにして、目的に応じて必要な項目を足していく方が失敗しにくいです。

会社マスタ(最小構成)

company_id(固定のID)、会社名(表示用)、ドメイン(名寄せキー)、ステータス(見込み・商談中・顧客・休眠など)、担当者(更新権限を明確に)、最終接触日(自動取得が理想)、メモ(任意、長文は活動ログへ)。

人物マスタ(最小構成)

contact_id、氏名、メールアドレス(名寄せキー)、会社(company_idで紐付け)、役職(任意)、ステータス(温度感や関係性など)。

活動ログ(最小構成)

日時、種別(メール・会議・電話・メモ)、company_idまたはcontact_id、要点、次アクション、期限、担当者。


まとめ:列を増やす前に「運用が壊れない前提」を作る

顧客データ設計で本当に大切なのは、見栄えの良い項目を揃えることではありません。チームが迷わず、業務が止まらず、引き継ぎができる状態を作ることです。

列を増やしたくなったら、まずこの5つをチェックしてみてください。

そのデータは何の意思決定に使うのか。名寄せキー(同一判定の基準)は固定されているか。”正”となる情報はどれか明確か。マスタと活動ログは分離されているか。必須・任意・自動取得の区分は決まっているか。

この順番で整えていけば、スプレッドシートでもCRMでも、顧客管理は確実に安定します。

ブログ一覧へ戻る
AIネイティブ CRM / SFA / MA Google Workspace 統合型で営業を加速